キャッシュレス化が進む現代でも、現金主義を貫く高齢者は一定数存在します。「いつでも使える」「目にみえる」という安心感の一方で、当然ながらリスクも存在します。本記事ではAさんの事例とともに、現金保管の落とし穴について、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が解説していきます。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
「銀行は信用できない」床下に“タンス預金2,000万円”を隠した年金月7万の80歳父…リフォーム業者も長女も驚愕した〈札束の成れの果て〉。日本銀行に持っていってさらなる驚愕【FPが解説】
老朽化した実家でみつかった「衝撃の事実」
父は80歳になりました。Aさんの父が床下に現金隠しはじめてから、すでに30年以上経過しています。かつてAさんが結婚し、住宅購入をする際に少し援助をと、父が床下のタンス預金から現金を出してくれて以来、手を付けていませんでした。
ある日、「最近、廊下の床が軋むんだ。扉の建付けも悪くなっているようだ」と父から連絡が入ります。
実家の老朽化が進んでいるのかと、父の様子をみがてらAさんは実家を訪れました。リフォームが必要となれば、それなりにお金がかかります。父の年齢を考えると、多額の予算をかけてリフォーム工事をするのはどうかと悩みました。
リフォーム業者に来てもらい、見積もりのために調査を開始します。業者の見立てでは、「老朽化もあるが、シロアリが原因かもしれません」とのこと。父に確認すると、シロアリ予防をしたのは、なんとAさんが住宅を買ったとき――つまり30年近く前が最後だというのです。
リフォーム業者が家の中をひととおり確認し、最後に床下を確認したときのことでした。床下から這い出してきた業者は固まっています。
「……ボロボロになった紙幣があります」それをみたAさんも血の気が引きました。慌てて父に床下にいくら入れていたのか聞くと、「2,000万円ぐらいかな」と答えました。
しかし、どうみても2,000万円あるようにはみえません。触るとさらにボロボロと崩れ、粉のようになってしまうのです。シロアリは木材だけでなく、紙(セルロース)も好んで食べます。父の財産は、長い時間をかけてシロアリの餌食になっていたのです。
損傷銀行券の引換基準
日本銀行によると、損傷銀行券の引換基準は日本銀行では、銀行券が破れたり、燃えたりした場合には、表・裏両面があることを条件に、下記の面積基準で引換えを行っています。
・面積が3分の2以上の場合は全額として引換え
・面積が5分の2以上、3分の2未満の場合は半額として引換え
・面積が5分の2未満の場合は銀行券としての価値はなく失効