内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者(65歳以上)の持ち家率は87.4%でした。およそ9割近い高齢者がマイホームを所有している状況ですが、実はそのなかに「マイホームなんて買わなければ良かった」と後悔している人もいるようです。現役時代は社宅で暮らし、定年後に家を買ったとある夫婦の事例をもとに、「老後の住まい選び」の注意点をみていきましょう。
もう限界…〈年金月24万円〉〈貯金5,000万円〉社宅暮らしでお金を貯めた60代夫婦、定年後に“念願のマイホーム”を購入→10年後に待ち受けていた後悔
夫婦がもっとも後悔したポイント
そして、AB夫妻が後悔していた一番の原因は「階段」でした。購入当初は「健康にいいね」と笑いあっていたそうですが、年を重ねるごとにその余裕がなくなったといいます。いまでは外出に強い抵抗があるため、子どもに教えてもらってネットショッピングを駆使しているそうです。
「もう限界……いまでもこんなにキツいのに、80代でこの階段を使うのは無理だ」
終の棲家としてふさわしくないと考えた二人は現在、集合住宅の1階もしくは中古の平屋住宅への住み替えを検討しはじめました。
「老後の住まい選び」の注意点
内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者(65歳以上)の持ち家率は87.4%と、9割近い高齢者が持ち家で暮らしています。こうしたなか、「住まいに対する後悔」を抱える高齢者は少なくありません。
これまで筆者が受けた相談や周囲の話を聞く限り、下記のような認識で家を選ぶと、後悔につながるケースが多いようです。
1.「いま」の便利さや見た目だけで判断する
築年数・管理組合の体制・長期修繕計画は確認しておく
2.階段や段差を「まだ大丈夫」と過小評価
「70代、80代になっても住み続けられるか」を想像する
3.管理費・修繕積立金の上昇リスクを軽視
年金生活における固定費の重さは家計に直撃する
4.管理組合の活動を確認しないまま購入
住環境は住民の質と意識で大きく左右される
特に、築古物件は購入費が抑えられるという魅力の裏に、「維持費の増加」「バリアフリー未対応」「個人の判断で共有部分に手を加えられない」といった課題が潜んでいます。
「いまの自分が満足するか」はもちろん大切ですが、それと同じかそれ以上に「未来の自分」に合わせた住まい選びが大切です。
老後は「移動のしやすさ」「買い物などの利便性」「周辺の医療環境」などが暮らしの質を大きく左右します。戸建や賃貸、介護施設など、さまざまな選択肢を比べながら柔軟に検討することが、後悔を最小限にとどめるポイントです。