お正月の慣習である「お年玉」。子や孫の成長を形にして祝う日本独自の文化ですが、主な収入が年金であるシニア世代は、お年玉の捻出に頭を悩ませることも少なくありません。そんななか、中塚秀夫さん(仮名・68歳)は、まとまった収入があるにもかかわらず、あえてお年玉を減額。その決断の背景には、息子夫婦の「思い込み」と「甘え」があったようです――。事例をもとに、「孫破産」の落とし穴と親子間のお金の向き合い方をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
じいじ、お年玉これだけ?…「年金月27万円」「退職金4,000万円」60代夫婦、愛する孫へのお年玉を〈1万円〉から〈1,000円〉に大幅減額した切実な理由
叱責後に“連絡が途絶えた”息子家族のその後
秀夫さんが叱ってから、息子夫婦からの連絡は途絶えました。
(孫の習い事はどうなったのだろう、洋服は、日々の食事は……?)
そんな心配が頭をよぎることもありましたが、「親として必要な言葉だった」と後悔はしていなかったといいます。
そして数ヵ月後、久しぶりに悠介さんから電話がありました。
「娘の送迎用に検討していた高級車を諦めて塾代を捻出した」「複数あった習い事を本人に選ばせてピアノに絞った。ひとつだけなら自分たちの収入でなんとかなる」
……息子たちがようやく経済的自立への一歩を踏み出したと感じ、秀夫さんの目には思わず涙が浮かんだそうです。
高齢化が進む社会では、親自身が経済的に自立し、心身ともに健康でいることが、回り回って子どもや孫にとって最大の支援になるという考え方もあります。それぞれが将来を見据えた生活を送りながら、本当に必要なときに支え合える基盤を整えていきたいものです。
山原 美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー