男女の平均寿命の差から、高齢期に一人暮らしとなる女性は決して珍しくありません。「孤独で寂しいのではないか」「かわいそう」──そんなイメージを抱く人もいるかもしれませんが、実際には、女性は男性に比べて生活スキルが高く、一人でも不自由なく、むしろ快適に暮らしているケースも少なくないのが現実です。今回は、三世代同居の家庭から一人暮らしへと生活が一変し、70代にして自由な日々を謳歌する女性の事例を通して、将来に向けて備えておきたいポイントを、CFPの松田聡子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
寂しい?いえ、全然…〈年金月13万円〉〈資産1,000万円〉74歳女性、夫を亡くし、子どもは独立。静かな家で孤独と思いきや「たった1人の年越し」に歓喜するワケ【CFPが解説】
4人に1人が「おひとりさま」…孤独≠不幸という新しい現実
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らし女性は25.4%(推計値)と、年々増加傾向にあります。高齢女性の4人に1人以上が一人で生活しているわけです。
「高齢者の一人暮らし=寂しく孤独」というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、その固定観念は、必ずしも正しくありません。
通信環境の発達した現代では、高齢者も離れて住む家族とビデオ通話などでコミュニケーションを取れます。特に子どもが成長するとお互いに忙しく、直接会う時間が取りにくい状況になりがちです。オンラインであれば移動時間も費用もかからず、お互いの空き時間が合えば、顔を合わせることができます。
むしろ、物理的に会わないことで経済的なメリットも生まれています。以前は、しのぶさんの家族が泊まりにきたり、一緒に暮らす泰久さんの家族と出かけたりしたときの出費は、少なからぬ負担になっていました。子どもたちと一緒に過ごす機会が減ったことに寂しさもありますが、浮いたお金を自分のために使えるようになったのです。
平日昼間の映画館(シニア割引で1,200円)、図書館で借りた本を読む時間、平日の格安温泉旅行(1泊7,000円程度)。喜美代さんは自由に使えるお金の範囲で、ささやかな老後の楽しみを味わっているのです。
ただし、一人暮らしの高齢者には注意すべき点もあります。突然の体調不良、知らず知らずの認知機能の低下、詐欺や悪質商法のターゲットになるリスクなどです。一人暮らしの自由を謳歌しつつ、健康なうちにいざというときのための準備もしておきたいところです。