厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の男性単身高齢者の貧困率はおよそ30%と、実に約3人に1人が貧困に陥っている状況です。こうしたなか、一言で「自助努力を」と突き放すのはあまりにも酷でしょう。とはいえ、年を重ねて新たな収入を増やすことも簡単ではない場合、どうすれば生活が楽になるのでしょうか? 月8万円の年金で暮らす79歳男性の事例をとおして、牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
年越しそばすら贅沢ですよ…家の中でもダウンを着用、「年金月8万円」「家賃4万円」79歳独居老人の貧困【CFPが救済策を紹介】
高齢者が収入を確保するには
65歳から70歳未満までは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働くことで、毎年1回10月分の年金から、受給額が増える「在職定時改定制度」があります。
また、同一世帯の全員が市町村民税非課税で、老齢基礎年金を受給している人のなかには、保険料納付済期間等に応じて、月額5,450円を基準に算出された「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」が給付されます。
なお、給付金等は令和7年10月時点の金額です。この制度の詳細は、日本年金機構のサイトなどで確認してください。
ただし、高齢で就労してもその金額は限られています。だからこそ、困窮しないためには、現役中から「ねんきん定期便」などで将来の年金受給額を把握して、あらかじめ貯蓄をしておくなど老後生活に備えておく必要があります。
また、なんらかの原因で生活が苦しくなったら「ひとりで抱え込まない」ということが大切です。もし生活が困窮する状況に直面したら、地域の民生委員や自治体の福祉課などにためらわず相談しましょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員