国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅購入者の平均年齢は新築注文住宅が41~42歳、分譲戸建・マンションは38~40歳前後が中心とされています。他方、現役時代に社宅等で暮らしていた人のなかには退職後に住宅を購入するケースも少なくないようです。ただし、年金生活に入ってから購入する場合、購入する住宅は慎重に選ばなければ、老後の家計に思わぬひずみが出かねません。退職後に住宅を購入したとある夫婦の事例をみていきましょう。牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
定年後に!? 絶対後悔するからやめときなよ…年金月23万円の65歳夫婦、娘の忠告を無視して〈庭付き一軒家〉を購入→“夫だけが”後悔したワケ【CFPの助言】
シニア・定年後の住宅購入の実態
国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」によると、初めて住宅を取得した(一次取得)世帯主の年齢は、30代が最も多いようです(図表参照)。
また2回目以上取得(二次取得)の世帯主の年齢は、分譲戸建住宅以外は、「60歳以上」が最も多くなっています。このなかには、現役時代は社宅や賃貸住宅に住み、定年退職後に住宅を購入(二次取得)したシニア層も含まれています。
定年後に「マイホームの購入」を検討する老夫婦
Aさんと専業主婦の妻Bさんはともに65歳です。Aさんは半年前、長年勤めた都内の会社を定年退職しました。そして同時に、東京郊外に中古の庭付き戸建て平屋住宅を購入し、老後の生活をはじめました。
現役時代は社宅暮らしだった夫婦は、定年退職後に自宅を購入すると決めて、毎月計画的にその資金を積み立てていたといいます。
老後の住まいに対する価値観の相違
Aさん「戸建てなら、建物はともかく土地の価値は残るんだから不動産資産として所有できるし、孫が来たら庭で遊べるぞ!」
Bさん「庭付きの一軒家なんて、庭の手入れや固定資産税やら維持費が大変なんじゃない? それよりも介護が必要になったときも考えて、サービス付き高齢者向け住宅でもいいんじゃないの」
Aさんの実家は戸建て住宅で、子どもころは庭で遊んだ思い出もあります。大学に入学して都内で下宿を始めた以降は、集合住宅に住んでいました。またBさんの実家はマンションで、戸建て住宅に住んだ経験はありません。そんな夫婦は“ああでもないこうでもない”と、楽しそうに購入物件を検討していました。
