長年コツコツと働き、贅沢もせずにお金を貯めてきた――。そんな堅実な生き方は、老後の安心につながるはずです。しかし、蓄えがいくらあっても「心の豊かさ」までは保証してくれません。気づけば、楽しみは通帳の残高を見ることだけ。人生の後半になってようやく「自分は何のためにお金を貯めてきたのだろう」と立ち止まる人がいます。今回は、節約を極めたひとりの男性が老後に抱えた“虚しさ”を通じて、ファイナンシャルプランナーの小川洋平氏がお金との向き合い方を解説します。
通帳の残高が増えるのがうれしくて、うれしくて。〈資産5,000万円超〉筋金入りの倹約人生を歩んだ65歳元会社員。寒い冬、小さな部屋で独り「これでよかったのかな」ぽつりと零すワケ
「貯める」だけでは人生は豊かにはならない
金本さんのように、真面目に働き、倹約し、その結果、大きな資産を持った状態で老後を迎えられる人も多いでしょう。
倹約は悪ではなく、むしろ「強い武器」です。お金をしっかり貯めてきたことで、金本さんは老後資金の不安からは解放されています。
しかし、人生は“お金を多く残した人が勝つゲーム”ではありません。誰より資産を多く残すことが目的ではなく、自分が満足できる人生をつくるためにお金をどう使うかが重要です。
そのために「ライフプランニング」という考え方があり、その本質は、“自分にとっての幸せな状態をどう実現するか”という人生戦略を立てることです。
どんな人と関わりながら生きたいのか、社会の中でどんな役割を果たしたいのか、どんな趣味を深めたいのか。幸せの形は人それぞれですが、満たされないまま年を重ねると、人は不満や怒りの矛先を他人に向けやすくなります。
お金そのものより、「お金をどう使うか」を考えることが、人生の豊かさを左右します。若いときから自分がどう生きたいのかを考え、それと向き合いながら生きていくことが大切です。
一度しかない人生をどう生きるか
多くのシニアが老後資金に不安を抱え、お金のためにリタイア後に働く人も多い一方で、金本さんのように大きな資産を持ちながらも満たされていない人もいます。
結局のところ、お金は人生を豊かにするための道具でしかありません。老後に後悔しないためには、ただ貯めるだけではなく、「自分が本当に望む生き方とは何か」、「そのためにお金をどう活かすのか」を考えることが欠かせません。
一度しかない人生、最大限の幸福を感じながら生きるためにも、自分としっかり向き合い、望む未来を実現するための戦略を考えてみましょう。
小川 洋平
FP相談ねっと