50代から堅実に投資信託でコツコツ投資を続け、資産を1,500万円から3,000万円まで着実に増やしてきた岡本一さん(64歳・仮名)。年金も月20万円以上受け取れる見込みで、順風満帆の老後設計。しかし、なぜか深い後悔に包まれています。なぜ堅実な投資で成功したはずの岡本さんが後悔しているのか。FPの青山創星氏と一緒に、その心の奥底に潜む感情と、大切な投資の本質について考えてみましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
俺は馬鹿だった…投資で「資産3,000万円」を築いた64歳会社員。年金月20万円超で“勝ち組”のはずが後悔まみれ。原因は同期との飲み会、高笑いとともに突きつけられた「スマホの画面」【FPの解説】
人間心理の落とし穴「比較の魔力」が奪う幸福感
岡本さんの後悔の根本には、行動経済学でいう「参照点依存性」と「フォーカシング・イリュージョン」が働いています。
参照点依存性というのは、絶対的な判断に基づいて物事の価値を測るのではなく、参照点(別の物事の価値)との比較によって価値を測る心理的な傾向のことです。岡本さんの築いた3,000万円の老後資産は平均額以上のものですが、同期の矢崎さんの2億円と比較することによって満足感が得られないことになってしまっています。
フォーカシング・イリュージョンというのは、一部の要素だけに焦点が当たり、他の要素の価値が見えなくなっていることをいいます。岡本さんには、3,000万円と2億円という資産額だけに焦点が当たり、矢崎さんが払った代償や自分の持っている妻や孫との平穏で幸せな生活の価値が見えなくなってしまっています。
冷静に考えてみましょう。もし岡本さんが矢崎さんと同じ投資をしていたら、本当に同じ結果が得られたでしょうか? 答えは「ノー」です。
投資における成功は、単に商品選択だけで決まるものではありません。リスク許容度、投資期間、そして何より「継続できる精神力」が重要な要素となります。岡本さんの慎重な性格では、仮想通貨の激しい値動きに耐えられず、途中で投げ出していた可能性が高いのです。
また、矢崎さんの成功は結果論に過ぎません。同じ時期に仮想通貨投資を始めた人の中で、2億円まで増やせた人はごく少数です。損失を抱え、中には老後資金を失った人もいるはずです。