55歳で役職定年を迎え、部長職を退いた斉藤昌也さん(仮名)。年収が300万円も減り、月々の手取りも約15万円減少しました。しかし、その事実を知らなかった妻は、銀行口座の振込額を見て顔面蒼白。さらに、長年家計を一人で管理してきた妻が抱える"ある秘密"も明らかに……。今回は、役職定年と“家計丸投げ”が生む落とし穴と、55〜65歳の10年間で家計のピンチはリカバリーできるのかを、ファイナンシャルプランナーの三原由紀氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
あなた、今月のお給料おかしいわ…通帳を手に顔面蒼白の妻。部長職を外れ〈年収300万円減〉の55歳夫を窮地に追いやる「とんでもない秘密」【FPの助言】
役職定年から3年…「老後破綻の危機」から脱した斉藤さん夫妻が手にした"希望"
役職定年から3年が経った今、斉藤さん夫妻の家計は着実に立て直しつつあります。毎月5万円の貯蓄目標は習慣化し、3年間で180万円の貯蓄を作ることができました。
斉藤さんは、58歳になった今も同じ会社で働き続けています。60歳以降の働き方についても、すでに会社と交渉を始めています。再雇用の条件を確認し、厚生年金に加入できる働き方を選ぶつもりです。
「60〜65歳の5年間も、できるだけ厚生年金に加入し続ける。それが老後の安心につながる」
恵さんもパートを続けながら、将来は年金を繰り下げ受給することも検討しています。
斉藤さん夫妻のケースから学べることは明確です。役職定年で家計の綻びが露呈したときこそ、夫婦が現実を共有し、55〜65歳の10年間をどう過ごすかを決めることの重要性です。この10年を「年金を最大化する期間」と位置づけ、厚生年金に加入できる働き方を続ければ、老後の安心は大きく変わります。
収入が下がっても、月数万円の積み立てを続ければ10年で500万〜1000万円の資産形成は十分可能です。役職定年は不安をもたらす出来事ですが、「老後のお金をつくり直す」絶好の機会でもあります。
55歳を迎えたあの日こそ、二人が未来を見直す転機でした。これからの10年をどう積み重ねるかが、老後の安心を左右します。
三原 由紀
プレ定年専門FP®