令和5年度の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた相続に関する争い件数は13,872件でした。毎日のようにどこかで起きている相続トラブル、決して他人事ではありません。「ウチは仲が良いから大丈夫」「子どもたちでうまくやるだろう」といった家庭ほど、いざその時になるとトラブルに発展してしまうもの。円満な相続を実現させるため必ず押さえておきたいポイントについて、事例をもとにみていきましょう。
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遺言書の重要性は周知されているものの…終活の実態
(公財)日本財団「遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査要約版(2025年)」によると、60代70代の2,000人に調査したところ、相続トラブルを防ぐためには、「相続対象となる財産の内容を普段から整理しておくこと」64.3%、次に「遺言書を書くこと」55.4%、の順で必要とされます。
同調査で遺言書の準備状況について、「すでに公正証書遺言書を作成している」1.7%、「すでに自筆証書遺言書を作成している」1.7%と、すでに作成している人は3.4%で、「しばらく作成するつもりはない」34.1%、「今後も作成しない」45.9%と、作成予定のない人は80%です。まさに言うは易く行うは難しでしょうか。
相続は、親の考えと子どもの意見のすり合わせが不可欠です。不要な資産は親が生前に処分して、念のために遺言書を作成して黄泉に旅立つ……これを怠ると、残された家族が揉める可能性がグッと高まります。
遺言書の準備は、手間と時間がかかっても、避けてはいけない終活の一部なのです。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員