パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関「Job総研」によると、地方移住に対して全体の59.8%と半分以上の人が興味ありと回答しているそうです(2023年・地方移住の意識調査より)。ただし、特に高齢者が地方移住を検討する場合、“思わぬ落とし穴”が存在することを把握しておかなければなりません。具体的な事例をもとに「シニアの地方移住」がもたらす遺族への弊害と、その対策をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「最後くらい好きに生きる」生まれも育ちも埼玉県の父が〈沖縄〉に移住→3年後、預金2,000万円を遺して逝去…51歳息子が「勘弁してくれ」と嘆いた〈親の地方移住〉の思わぬ弊害
遺族が「もっとも知りたいこと」
まず、遺族がもっとも知りたいのは「誰に連絡すればいいのか」という点です。
現地の友人や隣人、かかりつけ医などキーパーソンをリスト化したメモが1枚あるだけで、遠隔地での初動対応は格段に楽になります。あわせて、現地の人が子どもの連絡先を把握できるようにしておくことも重要です。
また、遺言では法的効力がおよばない「葬儀の形式や納骨方法」に希望がある場合は、弁護士などの専門家と「死後事務委任契約」を結んでおくと安心でしょう。
これにより、各種行政手続きや遺品整理など、相続以外の事務全般を委任できます。遠隔地で頼れる人がいない場合や、家族に過度な負担をかけたくない場合にも有効です。
終活とは、人生の締めくくりを美しく整える営みです。最後まで自由に生きたいと願えばこそ、「立つ鳥跡を濁さず」という美学をもって、残された家族が困らないような手はずを整えておきましょう。
山原 美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー