年間ベースで必要なお金を確認する

ボーナスが減る、もしくは支給されない場合、それまでボーナスで支払っていた費用の対応をどうするかが課題になります。

・住宅ローン、自動車ローンなど各種ローン

・子どもの学費(特に多いのが大学の前期後期授業料や習い事)

・固定資産税・車検、自動車税、自動車保険など車関連の費用

・生命保険料の年間払い

・月々の赤字の補てん

このように、月々の費用ではないけれど、年間ベースで必要となる費用がある場合には、まずはご家族で支出を洗い出してみるところから始めましょう。事前にどのような支出があるのかを把握しておくことで、優先すべき支払いと調整できる支出を見極めやすくなります。

とはいえ、収入が減る中で、どの程度の支出を維持できるのか、どのような対策が必要なのかを具体的に考えることが重要です。

特に、傷病手当金が支給されるとはいえ、それだけで収入をすべて補えるわけではありません。

例えば、1ヵ月の支出と治療費が約30万円、傷病手当金が約23万円だとすると、毎月約7万円が不足します。これが2ヵ月続けば不足額は約14万円となり、その分を貯蓄から補うことになります。

制度の活用もお金のやりくりも、すぐに効果が出るものではありません。収入が減った状態で慌てて対応するのではなく、見通しがつきにくいがん治療だからこそ、収入があるうちに計画を立て、治療期間中も無理なく生活できる準備をしておくことが大切です。

ただし、支出はやみくもに削減すれば良いというものではありません。過度な削減によって、希望していた生活が維持できなくなり、後悔される方もいます。

そのため、治療の見通し(復職による収入の変化など)や家族全体の収支、資産状況を踏まえたうえで、最適な解決策を考えることが重要です。

お金の管理は複雑で、一人で考えるのが負担になることもあります。無理をせず、専門のFPと一緒に考えていくこともひとつの方法です。早めに相談することで、無理のない選択肢を見つけやすくなります。

黒田ちはる
看護師FP®