傷病手当金は、退職時や休職中の生活費を補う大切な制度です。しかし、休職中の経済的不安を軽減するためには、傷病手当金申請後も油断はできません。給付金は「申請したら終わり」ではないのです。看護師FPの黒田ちはる氏の著書『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より、傷病手当金申請後の注意点をみていきましょう。
傷病手当金は「申請したら終わり」ではない…退職・休職して〈治療生活〉をはじめる際の注意点【看護師FPが給付金活用のポイントを解説】
傷病手当金の注意点はまだほかにも
注意点②社会保険料・住民税は自分で支払う必要がある
給料の支払いタイミングによっては、傷病手当金が振り込まれるまでの間、無収入となってしまう方もいます。
しかし、たとえ無収入になったとしても、もともと給料から天引きされていた社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)や住民税(前年度の所得に基づく)は変わらず支払う必要があります。
また、医療費についても、高額療養費制度の「多数回該当」(4回目以降の自己負担軽減)が適用されるまでは自己負担限度額までとはいえ、数万円(収入区分によっては10万~20万円単位)かかります。
そのため、休職を検討する際には、傷病手当金が支給されるまでの社会保険料や住民税、医療費の負担を踏まえたお金の見通しを立てておくと安心です。
注意点③ボーナス的なものはない
傷病手当金は、休職中の生活費を補う大切な制度ですが、ボーナスのような一時的で大きな収入は含まれません。そのため、毎月の支払いには対応できても、ボーナスを充てていた支出については別の方法を考える必要があります。
実際に、ボーナス支給時期が近づくと「休職中はボーナスがどうなるのか」といったご相談が増える傾向にあります。
ボーナスというのは、給料以外に夏季や年末などに支払われる一時金、賞与、特別手当のことをいいます。
給料とは違い、労働基準法などで「支払わなければならない」と定められているわけではないので、業績悪化の時にはボーナスを支給する義務はありません(参考:労働基準法第24条第2項の例外、昭22.9.13発基17号)。ボーナスの査定期間中に休職している場合、その扱いは企業ごとに異なります。
例えば、ボーナスが6月末~7月に支給される場合、一般的には前年11月~4月が算定期間となることが多く、その期間に在籍していれば支給されるケースもあります。
ただし、休職期間や勤務実績によって減額されることがほとんどです。
