玄関で待っていた「破綻の影」

吉田さん夫婦がタクシーで帰宅すると、玄関前に見覚えのある車が停まっていました。車から降りてきたのは美沙さんと小学生の孫二人。しかし、娘の表情はどこか暗く、どこか怯えているように見えました。

家の中に入り、荷物を下ろすやいなや、美沙さんはぽつりと語り出しました。

夫の浪費癖に長年悩まされてきたこと。夫は消費者金融やカードローンで借金を増やし、美沙さんの預金で穴埋めを続けてきたこと。そして、ついに自己破産した夫は、今度こそやり直してくれるかと思ったが、美沙さん名義で家族カードを作らせ、そのカードで浪費を繰り返していたこと。

借金は雪だるまのように膨れ上がり、リボ払いで延命し続け、最終的な残高は1,000万円を超えたといいます。美沙さんは夫とやり直すことを諦め、離婚を考えているといいます。

夫は自己破産後も浪費癖が治らず、養育費の支払いは期待できません。美沙さんは多額の借金を抱え、これから子ども(吉田さん夫婦にとっては孫)の教育費も必要になります。

「そんなことになっていたなんて、まったく気づかなかった……」

驚愕した吉田さん。親を不安にさせまいと、美沙さんはそれまで必死に隠してきたのだといいます。

しかし、こうなった今、美沙さんの借金を肩代わりしてあげるべきか、そして孫の教育費や生活資金をどうしたらいいのか。娘と孫を面倒を見ることになったら、今後、自分たちの老後はどうなるのだろうか……。

吉田さん夫婦の理想的にも思える老後は急転直下、先行きの見えない不安に包まれることになったのでした。