トラブルを防ぐために今日からできること

今回紹介したケースは、きょうだい間での仲が良く、母親の遺言に異論が出なかったため、円満な相続となりました。

実際には遺言書の内容を不服とした争いもゼロではありませんが、効力のある遺言書があるケースとないケースでは、その後の相続手続きに大きな差がでます。キヨエさんのように、「自分の死後、家族に迷惑をかけたくない」と考える場合、遺言書は有効な対策でしょう。

「エンディングノート」の活用も選択肢に

もしも遺言書をのこすことに抵抗がある場合は、「エンディングノート」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。エンディングノートには遺言書のような決まった形式がないため、より自由に自分の思いをのこすことができます。

死後のことだけでなく、存命中の医療や介護の希望も記しておけるため、より幅広い意志を伝えることができるでしょう。

ただし、エンディングノートに法的効力はありません。不安がある場合には、「遺言書」が安心です。それぞれの違いを理解したうえで、目的に応じて使い分けましょう。

いずれにしても、のこされた家族の無用な争いや混乱を避けるためには、自分の意思を伝える手段をあらかじめ用意しておくことが大切です。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP認定者