2025年に成立した「年金制度改正法」では、遺族年金に関する大幅な見直しが盛り込まれました。なかでも注目されるのが、遺族厚生年金の「5年有期化」です。2028年4月から「5年間の限定支給」になるといわれるこの制度について、五十嵐義典社労士/CFPが「5年有期支給」の対象になる人・ならない人の条件と、例外的なケースについて解説します。
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遺族年金は「生涯受け取れる」はずでは…受給期間が「5年間限定」に?恐ろしすぎる〈年金制度改正〉の真相【社労士CFPが解説】
万が一「有期支給」の対象になったら…支給額が増えることも?
「5年有期」という言葉がしばしば独り歩きし、過剰に恐れられている印象があります。ここまで見てきてわかるように、改正後の遺族厚生年金受給期間が5年ではないケースも少なくありません。実際には、5年より長く支給されることが多いことでしょう。
本当に5年で支給が終わるかどうかは、実際に遺族厚生年金が受給できるようになった際にしっかり確認しておくことが重要です。
また、有期支給の対象となる場合でも、「有期給付加算」(亡くなった人の報酬比例部分の4分の1相当額)の上乗せによって年間の支給額が増えることになり、故人の厚生年金加入記録に基づいて分割を受けて配偶者の老齢厚生年金を増やせる「死亡分割制度」も新たに創設されます。
一方、現行制度の「中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満の妻に対する定額加算)」は改正により段階的に縮小される予定ですが、加算されることもあります。
このように、遺族年金の受給期間と受給額は、それぞれの状況によって異なります。その他の改正部分も含めて、一度丁寧に確認しておくとよいでしょう。
五十嵐 義典
株式会社よこはまライフプランニング代表取締役
特定社会保険労務士/CFP認定者