学生の4割が「学生ローン」利用…米国の大学費用の実態

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米国留学を決意したとき、私は大学4年生でした。両親を説得するため、そして自分の覚悟を示すためにも、いくつものアルバイトを掛け持ちしていました。

イベント会場の深夜清掃、インターネット回線の契約、深夜の宅配便の仕分け作業は冷凍倉庫で行うこともありました。高時給のアルバイトを見つけてはシフトに入り、最終的には300万円ほど貯金できました。もちろん、それでは留学費用すべては賄えません。両親から学費と生活費を借り、将来的に全額を返済することを約束しました。

本格的な返済は、社会人になってからスタートしました。最初に働いたキャサリン・マランドリーノでの手取りはおよそ16万円。そのうち半分を親への返済用に貯金し、副業で得た収入もすべて返済に回しました。最終的には、約1100万円を完済しました。

留学中、一時的に父親の勤めている会社が不況のあおりを受けたこともありました。しかし、それでも応援し続けてくれた両親には、返済が終わった今でも、感謝してもしきれません。 

米国では、大学進学にかかる学費が高額です。州内の公立大学で、年間平均約1万1610ドル(約170万円)。私立大学では約4万3350ドル(約630万円)にも上ります。そこに仕送りも含めると、負担は大きくなります。

米国では、約4300万人(学生の約4割)が、学費や生活費のために学生ローン(Student Loan)を利用しているといわれています。その総額は、1.77兆ドル(約225兆円)となっています。

ここで注意すべきは、「学生ローン」という言葉の意味が、日本と米国でニュアンスがやや異なる点です。日本では「学生ローン」というと、消費者金融などで学生が借りるローンのイメージが強く、ややネガティブな印象もあります。

対して米国でいう「学生ローン」は、大学や大学院の学費・生活費のために政府や金融機関から借りる教育ローンのこと。返済は社会人になってから行うのが一般的です。日本でいうところの、JASSO(日本学生支援機構)などから借りる「奨学金」に近いといえるでしょう。学生ローンと奨学金……言葉は異なっても、若者が何百万円もの負債を背負って社会に出る構造は同じです。