時代の変化…「ブルーカラーの仕事」が人気になりつつあるワケ

もし、米国で学生ローンを払えなかったらどうなるのでしょうか。

まず、返済が遅延すると、延滞料が発生し、さらに利子が加算されます。もっとも深刻な影響は、信用スコア(クレジットスコア)の低下です。信用スコアが下がると、住宅ローンや自動車ローンなど、他のローンの金利が高くなったり、そもそも借り入れができなくなったりします。最悪の場合「デフォルト(債務不履行)」とみなされて、給料や税金の還付金の差し押さえが行われるなど、強制的な回収措置が取られます。 

学生ローンは若者にとって、とても重い負担です。学生ローンの返済が結婚、出産、住宅購入、起業などを遅らせ、格差拡大や米国経済そのものの成長の妨げになるのでは、という見方もあります。バイデン前大統領は、低・中所得層向けに最大2万ドルの学生ローン返済免除(Loan Forgiveness)を提案しましたが、「規模が大きすぎる」として2023年に連邦最高裁が違憲と判断し、頓挫しました。

コロナ禍では学生ローン返済が一時的に停止され、2023年まで延長されていました。その後もしばらくは、強制的な回収には踏み切っていなかったものの、トランプ政権になり、「借りたものは返すのが当たり前」という立場から、再び学生ローンの回収が再び始まったのです。

これは前政権とは真逆の姿勢です。これにより多くの人が、デフォルトのリスクに直面しているといわれています。学生ローンは政策によって大きく左右されますし、これから進学する学生には、これまで以上に大きな負担が課されることになります。 

時代の変化も急激です。少し前までは、「ホワイトカラーの仕事に就けば高収入が得られる」と信じられてきました。けれども今では、そうした知的労働こそAIに置き換えられやすくなり、最近の学生たちは就職すら難しくなっています。一方で、プラマー(配管工)や電気工事、建設などのブルーカラー職はAIによる代替が難しいとして、高収入の人気職となりつつあります。

このように、時代の変化によって「正解」とされるキャリアの選択肢は大きく変わってしまいます。だからこそ大切なのは、自分が何に向いているか、何をしていると楽しいかを知ること。その軸があれば、時代がどう変わっても、自分なりの道を選ぶ力になるはずだと思います。

あっち