南アフリカ旅行での恐怖体験から学んだ「自衛策」

少し話がそれますが、私が体験した中でもっとも危険な思いをしたのが、南アフリカ旅行での出来事でした。まず、ケープタウン​では人々の目つきが殺気立っているのを体感しました。そしてダーバンという街では、あやうく拉致されかけました。

ダーバンでは、ドアTOドアのタクシー移動を心がけ、服装は黒人ラッパーのように目深にフードを被り、「性別不明」にするなど自衛策を講じていました。しかし、数日経った日、Tシャツと帽子の軽装で大通りを歩いていたら、3人の男たちに羽交い締めにされ、白昼堂々、誘拐されそうになったのです。

私は体が大きかったため、すぐさまその場で暴れて難を逃れましたが、もし小柄な女性だったら今ここにいないかもしれません。昔はコンプレックスだった高身長が、こんなときに命を救ってくれるとは……人生なにがあるかわかりません。貴重品は靴下や帽子の中に分散させていたため、財布ひとつ取られただけで済みましたが、この経験から「ニューヨークはなんて治安がいいんだ」と感じるようになったのも事実です。

自衛策としては、足元はスニーカーがマスト。地下鉄や街なかで事故や事件などに巻き込まれた際、すぐに逃げられるようにするためです。私自身、華奢なハイヒールを履くことはほとんどありません。

さらに「これはヤバそう……」という場所を歩く場合、私は護身用としてカギを握って指の間に挟んでおくこともあります。ただし、トラブルに遭遇した際、反撃をすることでかえって相手を刺激しかねないので、これはあくまで「お守り」としての心がけです。

米国では、街なかで「そのシャツ、素敵ね!」など知らない人と世間話をするのは一般的ですが、”Hey, sexy”などいきなり話しかけてくる不審者は、スルーするのが正解です。激しいケンカをしているところに遭遇したときも同様です。正義感から仲裁をしたり、変な人に注意したりすると、逆ギレされ、反撃されるおそれもあります。

万が一、旅行中に犯罪や盗難に巻き込まれたら、日本の110番や119番に該当する「911」にダイヤルを。「ジャパニーズプリーズ」と言えば、日本語での通話もできますので、ぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね。

あっち