横浜市に住み続けた場合の保育料

このまま横浜市で暮らし、麻衣さんが仕事に復帰した場合、保育料は月に約5万円になる予定です。

子どもが3歳以降は自治体にかかわらず無償ですが、いまから東京に住めば、0歳から2歳までの3年間の保育料が無償になります。

また、国の制度として3歳未満には月額1万5,000円(第3子以降は3万円)の児童手当がありますが、東京都にはさらに「018サポート」という給付金の制度があります。

018サポートは、都内在住の0歳から18歳までの子どもを対象に「月額5,000円」支給される制度で、東京都独自の子育て支援制度です。

また、東京都は子にかかる医療費についても助成制度が充実しています。現在、東京23区では所得制限もなく、高校を卒業するまでは病院に行っても自己負担はかかりません。

一方、麻衣さんの住む横浜市は、子どもの医療費助成制度は中学生までとなっています。

「ほらほら、東京は保育料は無償だし、高校生まで学費も医療費もかからないよ。もうこれは東京に住んだほうが絶対お得だよ! 引っ越そう!」

夫は乗り気ではなさそうでしたが、麻衣さんは“都民になりたい”という思いもあり、すっかりその気に。

「東京は児童館も多いし、育休中もワンオペしやすいかも!」

夫を無理やり説得して、本格的に引っ越し先を探し始めたのです。

麻衣さんが見落としていた、東京移住の“致命的なデメリット”

「新宿や渋谷まで30分くらいで行けたらいいな」

ウキウキで物件を調べ始めた麻衣さん。しかし……

「えっ、ウソ、都内の家賃ってこんなに高いの!?」

麻衣さんが希望する地域の家賃相場は、現在と同様の間取りで月17~18万円ほど、人気エリアで少し良い条件を求めると、あっという間に20万円を超えます。保育料以上に、家賃によって家計が圧迫されそうです。

「ほら、お得じゃないじゃん」

夫は呆れたようになだめます。しかし、麻衣さんも簡単にはあきらめません。

「でも、高校だって無償なのよ……」

「保育料がかからなくてお得なのは最初の3年間だけでしょ。ここに住んでいれば、そのあとは貯金もできるけど、東京に住むとその高い家賃がずっとかかるんだよ」

「そのときはマンションを買えばいいじゃない!」