お互い貯金していると思っていたが…

三浦隆之さん(仮名、55歳)は、専業主婦の由希子さん(仮名、50歳)と長女(17歳、高校2年生)、次女(中学2年生)と、10数年前に購入した都内マンションに4人で暮らしています。隆之さんの年収は約1,200万円、手取りは月に71万円ほどです。

外食は月に数回、子どもたちは中高一貫の私立校に通っています。家族旅行も年に1~2回。こうしたゆとりのある日常が「普通の生活」として定着していました。

「住宅ローンや教育費はかかるけれど、そこそこ余裕はあるはず」

隆之さんは、そう信じて疑っていませんでした。

ところが、高校2年生の長女が進路の文理を選択する時期となり、この先の教育費について夫婦で改めて話し合うことに。そして、教育費ピークを前に驚愕の事実が発覚したのです。

妻「あなたが貯めているんでしょ?」

隆之さんは、由希子さんに生活費として毎月35万円渡しています。それ以外の住宅ローンや学費といった大きな引き落としは隆之さんが担っているため、食費など日常かかる生活費や由希子さんのお小遣いについては、その35万円でやりくりしてもらっているつもりでした。

隆之さんは、渡している生活費は余っていて、その分は貯金されているだろうと、ごく当然のように思っていました。

一方、由希子さんは、35万円は「使っていいもの」と認識しており、そもそも余るとは思っていませんでした。夫が全体の家計管理と貯金をしているはずだと信じて疑わなかったのです。

お互いが家計管理を相手任せにしていた結果、蓋を開けてみればここ数年で増えた貯金はほぼゼロ。

生活レベルは高収入に支えられてなんとなく維持されていましたが、家計全体にどれほどの余裕があるのかを、夫婦ともに正しく把握できていなかったのです。

妻から「あなたが貯めているんでしょ?」と聞かれた隆之さんは、思わず声を荒らげます。

「35万円も渡していたのに、毎月使い切っていたのか!? うそだろ!?」