退職金は、これからの生活を支える大切な資産です。ただ、日本ではその大金を狙った悪質な勧誘・詐欺が横行しています。勧誘にはさまざまなアプローチがある一方、悪質がどうかを見極める具体的な判断基準として、ある共通点があることはご存じでしょうか。「自分は大丈夫」と思っている人ほど気をつけてほしい具体的な勧誘事例と、その対処法・予防策について、大竹麻佐子が解説します。
儲かるに決まってるじゃないですか...平日昼の喫茶店に響く自信満々な声。高級腕時計にパリッとしたスーツ、"エリート風”の30代男が語る「退職金2,000万円の運用プラン」の危うさ【CFPが警告】
悪徳な勧誘・詐欺の手口の共通点
1.「絶対に儲かる」と言い切る
投資に「絶対」はありません。リスクがゼロの商品は存在しません。にもかかわらず「元本保証」「損はしない」と断言するのは典型的なサインです。
2.短期間で高利回りを約束する
「3ヵ月で資産が倍に」「年利30%以上」など、常識的に考えれば不可能な数字を提示してきます。
3.外見や生活で成功者を演出する
高級スーツ、ブランド時計、外車、タワーマンション……これらは信用を勝ち取るための“演出”であることが多いです。本当に成功している人は、わざわざ大っぴらに見せびらかさないでしょう。
4.決断を急がせる
「いまだけの特別枠」「今日契約しなければチャンスを逃す」と焦らせます。
5.専門用語を多用して煙に巻く
難しい金融用語を並べる一方で、「理解できなくても大丈夫、これまでの実績がすべてです」などと安心させようとします。内容を説明できない商品は、それ自体が危険信号です。
そのほかにも、「みんながやっている」「有名人がやっている」という話を聞くと、自分もやってみようかなとハードルが下がるようです。
会社員時代には、取引先や部下に具体的な数字の根拠を示すよう伝えてきたのに、なぜ自分が騙されてしまったのか……と後悔する事例も少なくありません。
騙されないで!詐欺から身を守るためには…
まず前提として「うますぎる話」「必ず儲かる」「短期間で倍になる」といった話は、常識的に考えてあり得ないと認識することが大切です。
そうは言っても、相手は考える時間を与えないよう事前に準備を行っています。もしかしたら早口で煽り立てるトレーニングをしているかもしれません。
もしも相手の空気感に圧倒されそうなときは、いったん話を中断し、その場から立ち去ることをおすすめします。くれぐれもその場で署名や押印することを避けましょう。
書類は必ず持ち帰り、冷静に読み直します。また、家族や専門家に相談することも有効です。相談することで、冷静な意見が得られますし、その投資商品について自分自身の理解度を確認することもできます。
重要なのは「ひとりで決めない」という習慣を持つことです。
また、金融庁や消費生活センターには実際の詐欺情報が集まっています。少しでも不審に感じたら、ためらわず相談してみましょう。