近年日本では50代以上の夫婦の離婚が増えています。外からは円満にみえても、長年のすれ違いや不満が静かに蓄積され、ある日突然別れを告げられることも少なくないようです。そんな熟年離婚の背景と、その後の暮らしの注意点について、50代夫婦の事例をもとにみていきましょう。ゆめプランニング代表の大竹麻佐子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
さようなら…年収2,000万円の54歳エリートサラリーマン「妻が消えた!」と大騒ぎ。自宅のアイランドキッチンに置かれていた"1通の置き手紙"に顔面蒼白【CFPの助言】
「熟年離婚」する夫婦が増えている
近年「熟年離婚」が増加傾向にあります。厚生労働省の人口動態統計によると、2023年の離婚件数は約18万件。そのなかで、結婚20年以上の夫婦による離婚は17%を占めています。
熟年離婚が増えている背景には「子育てが終わったから」「定年後ずっと一緒にいる自信がない」といったライフステージの変化にともなう決断のほか、2007年から始まった年金分割制度の認知拡大や女性の経済的自立意識の高まりなど、社会的な変化も一因にあると考えられます。
周囲からは仲のいい夫婦に見えていても、実は心のすれ違いや価値観の隔たりが積もり積もって、ある日突然それが爆発するというケースも少なくないようです。
年収2,000万円のエリートが“顔面蒼白”になった「1通の置き手紙」
都内の一等地に暮らす後藤夫婦(仮名)。会社役員の夫(54歳)は年収2,000万円を超えており、高収入・一等地暮らしと絵に描いたようなエリートです。2歳年下の妻は、長年専業主婦として、そんな夫を支える暮らしをしてきました。
周囲からは順風満帆な暮らしのように思えていた夫婦の生活ですが、夫が“顔面蒼白”になる事態が起きます。
ある朝夫が寝ぼけまなこでコーヒーを飲もうとしたところ、妻こだわりのアイランドキッチンに1通の手紙が置かれていたのです。
「さようなら。実家に帰ります」
突然突き付けられた「三行半」に、夫は血の気が引いていくのを感じます。
「おいおいおい、ちょっと待てなんだよこれ……。いったいこの生活になんの不満があるんだ? もしかして、好きな男でもできたのか!?」
わけもわからず、ただ困惑するばかりです。