とある喫茶店で耳にした“気になる会話”

ある平日の午後、駅近くの喫茶店で時間調整をしていると、隣の席から気になる会話が耳に入ってきました。

やりとりから推察するに、60代前半と思われる男性が自身の退職金2,000万円について、30代くらいの男性から運用の提案を受けているようです。

「よくわからないけど、損することはないのか?」と不安そうに尋ねる60代男性。

すると若い男性は笑顔でこう断言しました。

「儲かるに決まってるじゃないですか! 私の説明、難しくてわかりませんでしたよね? だからこそ儲かるんです。私を見てください。この身なりがなによりの証明ですよ」

高級腕時計にパリッとしたスーツ、一見すると成功者のように見えますが、どこか芝居がかった仕草や言葉の軽さに、違和感を覚えずにはいられませんでした。

声をかけようか迷ったものの、時間になり席を立ったため、その後の結末は知りません。もちろんこの話が詐欺かどうかも不明です。

ただ、この二人の会話を聞いていて「退職金を狙った投資詐欺」によくある構図と重なり、強い警戒心を抱きました。

退職金を狙う投資詐欺、よくある手口

退職金は、普通の会社員が数百万円から数千万円のまとまった金額をいきなり手にします。

そのなかには、これまでほとんどお金の勉強をしてきていない人も少なくありません。そのため、悪徳業者や詐欺師からしてみれば格好のターゲットになりがちです。

一度に多額の資金を受け取るという経験は、人生のなかで、そうそうあることではないでしょう。見慣れない預金残高に、自分ごととして感覚が掴めていない状態であったりもします。そこに付け込むのが詐欺です。

ただ、こうした詐欺の入り口にはある程度の共通点が存在するため、ここを押さえておくだけでも被害に遭う可能性はかなり低くなります。