不動産価格が高騰を続ける昨今、タワーマンション(以下、タワマン)に住むことは“一種のステータス”だといえるでしょう。しかし、「タワマンに住む」ことに執着しすぎた場合、日々の生活の質や家族の幸福が犠牲になってしまうかもしれません。「湾岸タワマン」を購入した40代夫婦の事例をもとに、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報等は一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「やめとけ」という周囲の声を無視…ペアローン7,000万円で「湾岸タワマン」を買った世帯年収1,000万円・40代夫婦の本音【CFPの助言】
憧れの「湾岸タワマン」がストレスになってきた夫婦
都内の中堅産業用機械製造メーカーに勤めるAさん(46歳)は、会社員の妻Bさん(43歳)と10歳のひとり娘の3人で、いわゆる「湾岸タワマン」に住んでいました。
このマンションは約7年前、頭金や諸経費は夫婦の貯蓄から、残りは夫婦で25年返済のペアローン7,000万円(Aさん5,000万円、Bさん2,000万円)で購入したものです。
A家の世帯年収は1,000万円(手取り760万円)ほど。ローンを年間294万円(月24万5,000円)返済しており、毎月約38万円で生活しています。
そんなA夫婦、実は現在の住まいにストレスを感じているとのこと。そこで今後のライフプランを考えたいと、筆者のもとを訪れたのでした。
夫婦が「湾岸タワマン」を購入した理由
Aさんは現在住んでいる湾岸タワマンを購入した理由について、次のように話します。
「娘の小学校入学を機に、マンションを買おうと探しはじめました。すると、当時『億ション』といわれはじめた築2年の湾岸タワマンが売りに出ていると不動産業者から聞いたんです。正直、周囲からはかなり反対されましたよ。『これから教育費が増えていくなかで多額の住宅ローンを抱えるなんて、悪いことは言わないからやめとけ』という感じで。でも、こんなチャンスは二度とないと思ったし、夫婦の収入でなんとかローン返済もできると買いました」
部屋は48階建ての7階と以前の賃貸マンションと階数は変わらなくても、「タワマンに住んでいる」というステータスを感じて満足していたそうです。
しかし……。