シニアはなににお金を使っているのか?

現在のAさんの生活について尋ねたところ、退職後は毎月約30万円の支出で生活しているとのことでした。

また収入は老齢厚生年金が月24万円、68歳からは妻の分も含めて月29万円受給予定なので、多少貯蓄を取り崩しても、年金だけで生活できると考えていること。

それに加えて、1億円の貯蓄を100歳まで均等に取崩していくと、毎月23万8,000円となり、十分生活はできると思っている。だけどむやみにお金を使うことは怖い、ということです。

高齢者の消費と家外活動

では、Aさんと同世代の人はどんなことにお金を使っているのでしょうか。

内閣府「令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」の「今後優先的に使いたい支出項目は何か」によると、次のとおりです。

■趣味やレジャーの費用……60代後半47.6%(全体40.4%)

■食費……60代後半32.3%(全体31.3%)

■保険医療関係費……60代後半18.7%(全体20.5%)

■子や孫のための支出(学費含む)……60代後半23.8%(全体19.1%)

■友人等との交際費……60代後半13.3%(全体12.8%)

また同府「令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)の結果(概要版)」では、「この1年間に個人または友人、グループ、団体で自主的に行われている活動したか」の問いに、次のような結果が出ています。

■「健康・スポーツ(体操、歩こう会、ゲートボール等)」……60代後半29.2%(全体30.3%)

■地域行事(祭りなどの地域の催しものに参加)……60代後半23.1%(全体21.9%)

■趣味(俳句、詩吟、陶芸等)……60代後半16.7%(全体15.9%)

■生活環境改善(環境美化、緑化推進、まちづくり等)……60代後半13.6%(全体11.9%)

■地域行事(祭りなどの地域の催しものの世話等)……60代後半11.6%(全体10.3%)

なお、1年間に活動または参加した割合は63.2%、していない割合は35.3%となっています。

これらの結果を見たAさんは、自分と同じように家でじっとしている人もいると、少し安心した様子でした。また、お金を使うことの抵抗感も少しは薄らいだそうです。