高齢化社会が進む中、「ひとり暮らしの孤独死」はたびたび社会問題として取り上げられています。しかし、近年、「同居していても孤独死」いわゆる“同居孤独”のリスクがひそかに広がっていることは、意外と知られていません。今回は、家族とともに暮らす高齢者が抱えがちな「孤独」について、ファイナンシャルプランナーの小川洋平氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「家族と同居しているけど、ひとりぼっちです…」年金月16万円・資産800万円の82歳女性、「孤独死」の不安に脅えるワケ【CFPの助言】
「もし私がこの家で倒れても、誰も気づかないかも…」
佐和子さんが引っ越してきた先は初めての土地で、近所付き合いもほとんどありません。名前も顔もわからない人々の中で、佐和子さんは毎日ほとんど独りで過ごしています。
散歩に出ても、誰とも言葉を交わすことなく、コンビニのレジで交わす「ポイントカードはお持ちですか?」が、唯一の会話になる日もあるくらい。
「もし、私がこの家で倒れても……誰も気づかないかもしれない」
そんな不安が、ふと頭をよぎります。具合が悪くなったとき、家族は日中いない。夜まで誰も帰らず、声をかけてくれる人もいない。その思いを、息子に打ち明けたことがありました。
「そんなことないよ、大丈夫だよ」と息子は笑って答えましたが、佐和子さんの胸のつかえは晴れることはありませんでした。
「元気そうだから」と見過ごされていますが、家族から理解してもらえることはなく、不安が消えることはありませんでした。