人生100年時代というワードが定着した昨今。平均寿命が延び、長生きできるようになったことは喜ばしい限りです。しかし、いいことばかりではありません。「健康」「孤独」「お金」が老後の3大不安といわれるなか、老後の貴重な生活資金である年金への不安は増すばかり。不安を軽減するためには、年金以外に収入を得る手段を知っておくことが大切です。ここでは、その手段のひとつである「シルバー人材センター」について詳しく解説します。
年金だけでは暮らせない…貴重な老後の収入を増やす「シルバー人材センター」という選択肢【社労士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

データでみる老後の年金額

会社員と自営業者の年金格差

厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の老齢給付受給者の平均年金月額は、併給される老齢基礎年金の額を含めて144,982円。一方、自営業者など、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は56,428円です。会社員と比べると、年金額に大きな差があることがわかります。

※ 厚生年金保険(第1号)とは、厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される方

 

自分の年金見込額を知る

老後生活を考えるには、まずは自分の年金見込額を知ることが重要です。上記の金額はあくまでも平均値ですから、以下のツールを活用して自分の年金見込額を調べてみましょう。

 

・日本年金機構の「ねんきん定期便」

・日本年金機構の「ねんきんネット」

・厚生労働省の「公的年金シミュレーター」

老後生活の収支を把握しよう

 

老後2,000万円問題が騒がれたのは令和元年6月でした。金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書において、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となって」おり、「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約 1,300万円、30年で約 2,000万円の取崩しが必要になる」とされたことに始まります。

 

平均的な1ヵ月の生活費と年金収入

総務省「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)における1ヵ月の消費支出は250,959円、非消費支出は31,538円です(合計282,497円)。年金等の実収入は244,580円なので、37,917円の不足が生じます。

 

厚生労働省「令和6年度の年金額改定について」では、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む老齢年金額は月額230,483円となっており、こちらを参考にすると収入と支出の差は52,014円です。

 

おおよその生活費を把握する

ただし、生命保険文化センターが実施した調査では、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考える最低日常生活費は月額で平均23.2万円という結果でした。ぜいたくな生活を望まなければ、平均的な老齢年金額で賄える数字となっており、老後生活の収支は世帯ごとに大きく異なると考えられます。

 

ぜひ一度、夫婦の年金見込額を確認するとともに、今の生活水準から1ヵ月の生活費を試算して大体の収支を把握しておきましょう。

 

老後も収入を得る手段を知っておく

老後生活の収支を確認する際、年金の支給額は物価の上昇に追いつかない仕組みとなっていることに注意してください。年金収入は低く、生活費は高く見積もることが重要です。そして、収支がマイナスになる場合には、年金以外に収入を得る手段を知っておくと安心できます。