近年、配偶者が亡くなったあとに「死後離婚」を選択する人が増えているそうです。「離婚」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、亡くなった配偶者を愛していても、“あえて”離婚を選ぶという人も。いったいなぜなのでしょうか。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士・CFPが、「死後離婚」のしくみとメリット・デメリットについて、事例を交えて紹介します。
夫のことは愛していました。でも…元公務員の夫を亡くした59歳女性が「死後離婚」を決断したワケ【税理士兼CFPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

死後離婚した場合、「相続」と「年金」はどうなる?

 

死後離婚を検討する人の多くが気にしている点に、遺産相続や死亡保険金、遺族年金などへの影響があげられます。

 

結論から言うと、死後離婚をしても、相続権や死亡保険・遺族年金の受給権に影響は生じません。したがって、死後離婚をするにあたり、経済面について心配する必要はほとんどないといっていいでしょう。

 

死後離婚した場合の「相続権」→失われない

死後離婚をしても、亡くなった配偶者の遺産に関する相続権は失われません。死後離婚は、あくまでも亡くなった親族との姻族関係を終了させるものであって、法的な意味での「離婚」ではありません。

 

被相続人が亡くなった時点では、相続権を得られる配偶者であったことに変わりはないため、死後離婚をした場合であっても、亡くなった配偶者の遺産を相続することが可能です。遺産分割協議にも参加できます。

 

死後離婚した場合の「死亡保険金」→受け取れる

死後離婚後も死亡保険金の受取人としての地位は失われません。したがって、亡くなった配偶者が加入していた生命保険について、受取人として指定されていれば問題なく受給できます。

 

死後離婚した場合の「遺族年金」→受給可能

国民年金または厚生年金の被保険者が亡くなった場合、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者は「遺族年金」を受給できることがあります。遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給資格の両方を満たしている場合は両方受給できます。