総務省統計局が実施した国勢調査(令和2年度)によると、日本の核家族世帯は57.7%でした。こうしたなか、義理の親(子)とのつながりの希薄化やコミュニケーション不足により、義理の家族の関係性に悩んでいる人も少なくありません。特に、そこに「お金」が絡んだとたん、事態はさらに複雑化するようで……。義娘の“豹変”に悩む66歳夫婦の事例をみていきましょう。牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
敬老の日を利用しないで…66歳元公務員夫婦が息子家族の来訪を拒否。原因は、定年退職後に“態度が豹変”した「銀行員の義娘」の存在【CFPの助言】
A夫婦と義娘Dさんの「その後」
筆者は「退職前にお2人と決めた老後の支出計画は、順調に推移しているようです。Dさんも銀行員として、義両親のためになる提案をお持ちでしょう。ここは話だけでも聞いてあげてはいかがですか」とA夫婦に勧めました。
「そうか……まあ、そうですね、不要な提案ならきっぱり断ればいい」
こうしてA夫婦は、まずは義娘の話を聞いてみることにしました。
義娘との関係に“雪解け”の兆し
後日、Aさんから連絡がありました。
Aさんから「話を聞きたい」と連絡を受け飛んできたDさんに対して、AさんとBさんは「退職金を受け取った直後から態度が急変したことに対する不信感」を冷静に伝えます。
Dさんは、義両親の正直な気持ちを聞いて大きなショックを受けました。しかし、冷静に振り返ると、確かに義両親がそう感じてもおかしくないほど露骨な急変だったと反省。Dさんは一連の行動について謝罪したうえで、義理の娘として、また銀行員としてA夫婦の力になりたいと伝えました。
Dさんの真意を聞いたA夫婦は、すべてを信じたわけではないものの、現在進行中の老後の支出計画を見せながら「この計画に役立つ話をして欲しい」と伝え、ライフプランの立案を依頼したとのこと。
「自分たちのネガティブな感情も含めて、正直に伝えて良かった。何も話さないまま不信感ばかりが募っていたら、とてもじゃないが、家族の付き合いはできませんでした」
Aさんはしみじみそう話してくれました。
A夫婦とDさんのように、お金に関わる信頼は、一朝一夕で築くことはできません。相手を思いやる言動を通して、時間をかけて構築されていくものでしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員