総務省統計局が実施した国勢調査(令和2年度)によると、日本の核家族世帯は57.7%でした。こうしたなか、義理の親(子)とのつながりの希薄化やコミュニケーション不足により、義理の家族の関係性に悩んでいる人も少なくありません。特に、そこに「お金」が絡んだとたん、事態はさらに複雑化するようで……。義娘の“豹変”に悩む66歳夫婦の事例をみていきましょう。牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
敬老の日を利用しないで…66歳元公務員夫婦が息子家族の来訪を拒否。原因は、定年退職後に“態度が豹変”した「銀行員の義娘」の存在【CFPの助言】
定年時の貯金は7,000万円…元公務員の“勝ち組”夫婦
66歳の夫Aさんと同い年の妻Bさんは、都内の戸建住宅に住む元公務員の夫婦です。昨年の年度末に2人とも定年退職して、1年余りが経ちました。
現在の年金収入は夫婦で月34万円と、生活費は年金で賄えています。また貯蓄は、夫婦の退職金を含めて7,000万円。自宅の住宅ローンは完済しています。
筆者は、夫婦が退職する前に、夫婦が決めた退職金を含めた貯蓄の使い方や、家計支出の改善などの相談を受け、夫婦と一緒に考えました。
その結果、貯蓄はほぼ夫婦の希望通りに、自宅内に手すりの設置や段差の解消、風呂、トイレ、洗面所などのバリアフリー化リフォームを行ったほか、今後、介護や看護が必要になった時の費用をはじめ、車の買い替え、国内外の旅行、ひとり息子の住宅購入資金の援助などの費用、それに想定外の支出ための予備費と、しっかりと使い道を決めていました。
また、家計の支出も、現在加入中の保険の保障内容やサブスクなど定番の見直しを実施。これにより毎月の支出額の削減を図るなど、定年後の家計の準備は完璧です。
義娘とは“割り切った”お付き合い
夫婦には、都内の商事会社に勤めるひとり息子のCさん(36歳)がいます。Cさんはある銀行にフルタイムで勤める妻のDさんと7歳の子どもと、実家から車で約1時間の賃貸マンションで暮らしています。
A夫婦にとって義娘のDさんは、結婚以来夫婦にドライな対応で、実家に来るのはCさんと孫だけでした。
「まあ、最近の親戚づきあいなんてそんなもんか、大好きな孫と息子に会えればそれでいい」
義娘との割り切った関係性についても納得していたA夫婦。しかし、あるタイミングきっかけに、A夫婦は義娘との関係を悩むようになります。