貯蓄8,000万円…なに不自由ない生活を送る66歳夫婦

66歳のAさんは、現役時代大企業の部長を務め、65歳で定年退職した元エリートサラリーマンです。郊外にある戸建住宅に、同い年の妻Bさんと2人で暮らしています。

現在の収入は、夫婦の老齢厚生年金とAさんの企業年金をあわせて、月34万円ほどです。このほか、退職金を含めた約8,000万円の貯蓄があります。

夫婦ともに無駄遣いを嫌う性格で、現役時代からしっかり家計管理をしていたため、住宅ローンは60歳のときに完済しています。

若いころ転勤族だったAさんは、40歳のときに自宅を購入。住宅ローンの返済と2人の子どもの大学進学が重なったにもかかわらず、20年間で完済できたことを誇りに思っています。そんな子どもたちも、現在は36歳と34歳となり、すでにそれぞれ家庭を持っています。

8,000万円の貯蓄、月34万円の年金……。A夫婦の老後は、なんの心配もないはずでした。しかし――。

Aさんはある日を境に、「これまでの暮らしぶりを悔やんでいます」とうなだれるように。いったいなにがあったのでしょうか。

きっかけは部下に誘われて参加したゴルフ

1ヵ月ほど前、Aさんが現役時代の部下Cさん(59歳)から誘われ、ゴルフに行ったときのことです。

「自宅まで迎えに行きますよ」と言われ、Aさんが準備を済ませて外に出てみると、そこにはピカピカの高級車が停まっています。

「お待たせしました! 荷物はここに入れてください」

トランクを開けると、すでに積んであるCさんのゴルフクラブは自分が持っているものよりハイブランドで、しかも最新モデルのようです。

「ずいぶんと羽振りがいいみたいだな」

Aさんが思わず嫌味も込めてつぶやくと、Cさんは爽やかな笑顔で言いました。

「いやいや、我慢できないだけですよ。私も妻も、欲しいものができたらすぐにお金を貯めて、貯まったらすぐに買うんです。おかげでいつも金欠ですよ」