親が元気なうちにすべき「3つの準備」

今回の金子さんのケースは、決して特別なことではありません。親が一人暮らしをしているご家庭であれば、同じようなことがいつ起きても不思議ではないのです。

手遅れにならないためには、親が元気なうちに、親子で将来について話し合い、情報を共有しておくことがなによりも大切です。具体的には、以下の3つの準備を始めましょう。

資産と契約の棚卸し

通帳・証券・保険・不動産の権利証など親が持つ財産の一覧を作る。不要な口座は解約し、資金を使いやすくまとめておく。

将来の財産管理

 判断能力が低下したときに備え、任意後見契約、家族信託などの制度の利用や遺言書を検討し、「誰が」「どの範囲で」管理するかを決めておく。

介護への備え

介護が必要になった際に、どこで、どのような支援を受けたいか、費用はどうするか、など親の意向を聞き、家族の考えとすり合わせておく。

こうした備えは、親の生活の安心を守るだけでなく、離れて暮らす家族の心と生活も守ります。自分の親に限ってまだ大丈夫だろう……と、老後のお金や暮らしの話は後回しにしがちです。しかし、その先送りが後々の負担を何倍にもします。

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、「元気なうちに整える」ことが、親子にとって最良のリスク対策になるでしょう。

伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)