Aさんが“コンビニ依存”になったワケ

そんなAさんは、退職後も規則正しい生活をしなくてはと、毎朝約1時間の散歩を始めることに。するといつの間にか、散歩の最後に近くのコンビニに寄る習慣ができていました。

当初はコンビニの店内の品物を眺めるだけでしたが、試しにとスポーツ新聞を買いました。すると、時間を持てあます日中の退屈を紛らわせるのに丁度よいと感じたAさんは、それ以来新聞を毎日2社ずつ、週刊誌も週に2~3冊買うようになったのです。

また、昼食は現役中も退職後もBさんが作っていました。しかし、Aさんはコンビニで弁当やおにぎり、総菜なども買うようになります。その結果、毎週6,000円~7,000円の出費です。

Bさんが「コンビニで買う物はもう少し考えて」と注意しても、Aさんは「まあまあ、大した額じゃないんだから」と、取り付く島もありません。

そんな日々が続き、明らかに残高の減りが早くなった通帳をみて危機感を抱いたBさんは、Aさんを連れて知り合いのFPに相談することにしたのでした。

コンビニ通いを止められないAさんの危険性

Bさんから事情を聴いた筆者は、Bさんが管理していた夫婦の家計収支を見せてもらいました。収入は夫婦で月23万円と、Aさんが勤めていたころの3分の1に減っています。支出は、Aさんがコンビニや日中自宅で使う電気代などで、以前より増えています。

Aさんは「あのコンビニは自分と同世代や外国の従業員がいて、話しかければ気軽に話に乗ってきてくれるから、ついつい『また来るよ』という調子で頻繁に足を運んでしまって……定年後の生きがいみたいなもんです」と言います。

Bさんはすかさず「エアコンを使って電気代が高くなるのはともかく、新聞や週刊誌は図書館に行って読めばいいし、お昼は私が作っておくので、わざわざコンビニで買わなくてもいいでしょう。なんとかしてよ!」と、夫婦ともに真剣です。

筆者がA家の支出を試算してみると、コンビニの支払い以外で、現在加入中の保険料やサブスクなどの無駄な契約を削減しても、支出は月約25万円。毎月約2万円の赤字です。

700万円ある貯蓄は、将来夫婦の介護や看護の費用や自宅の修繕費に残しておき、手を付けないほうがよいと考えました。