一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニの平均客単価は725.5円。多くの人にとって日常的な金額ですが、定年退職後のシニア層にとっては、この小さな金額の積み重ねが老後資金を脅かすことも。しかし問題の本質は、単なる金銭的な浪費だけではないかもしれません。65歳男性が“コンビニ依存”に陥った事例から、その背景にある根深い問題をみていきましょう。牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
また来るよ…「年金月16万円」「貯金700万円」老後が不安な65歳男性、妻から注意されても〈コンビニ依存〉から抜け出せない深刻な理由【CFPの助言】
コンビニは「シニア」であふれている?
コンビニエンスストア(以下、コンビニ)は食料品や日用品、衣料品はもちろんのこと、公共料金の支払いや宅配便、ATMサービス、コピーにFAX、チケット購入、各種行政サービスまで、多岐にわたるサービスを24時間取り扱っています。
そんなコンビニの客層はというと、50歳以上が全体の3分の1以上を占めているようです。
いまや日常生活に不可欠なインフラとなったコンビニ。しかし、その一方でシニアの“コンビニ依存”が深刻な問題となっていることはご存じでしょうか。
無計画の老後生活を始めたAさん
半年前に20歳から勤めた食品製造会社を定年退職したAさん(65歳)は、3歳下の妻Bさんとの二人暮らしです。子どもは2人いるものの、どちらも家庭を持ち別の場所で暮らしています。
A夫妻の現在の収入は、老齢厚生年金(月あたり16万円)と、Bさんのパート収入7万円、あわせて約23万円です。また、Bさんが65歳になってからは、夫婦で月あたり23万円の年金を受給できる見込みです。
なお、退職金で住宅ローンの残債を完済したため、貯金は700万円あまりと少々心もとない額となっています。
Aさんは定年退職の際、Bさんには「しばらくはゆっくり過ごしたいし、働く気はないよ」と言っていました。
一方、Bさんは週4日パートで働いていました。パート仲間との旅行も楽しみで、引き続き勤めています。そのため、Bさんがパートに行っている日中、Aさんは自宅でひとり過ごしていました。
