近所に建つ“ボロボロの家(アパート)”の駐車場などで、みるからに不釣り合いな“ピカピカの高級車”が停まっている光景を見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。では、その“ピカピカの高級車”の持ち主はいったいどんな人なのか、築40年の築古1Kアパートで暮らすフェラーリオーナーの事例をみていきましょう。牧野寿和CFPが解説します。※プライバシー保護のため、登場人物の情報は一部変更しています。
幸せです…家賃5万円・築40年“ボロボロの1Kアパート”に住む69歳・無職男性が「3,000万円超えの真っ赤なフェラーリ」に乗れるワケ【CFPの助言】
まだまだ元気な60代…男女で違う趣味・趣向
60代というと、現役で会社に勤めている人も多く、余暇の過ごし方にも特徴があります。シニアライフ総研®「シニアの余暇・趣味・習い事について-2023年3月調査」によると、この年代の男女別の趣味ベスト10は次の通りです。
国内旅行や散歩・ウォーキングは、男女ともに半数近くが趣味としています。しかしそれ以降は、男女で趣向が異なるようです。とりわけ男性で7位に入っている「車でのドライブ」は、女性では15位の9.8%に留まります。
また「男性のドライブ」と一口に言っても、その楽しみ方や込められた思いは人それぞれです。
築古アパートの駐車場に停まった高級車の謎
築40年、1Kのアパートに単身で住むAさんは、現在69歳の無職です。もとは大手メーカーで部長まで上り詰めたエリートであり、60歳の定年退職後は関連会社で嘱託として働き、65歳に完全リタイアしてこのアパートに住んでいます。
65歳のときは退職金を含めて、1億円近い資産を保有していました。また、老齢厚生年金を月24万円と企業年金を月7万円、合計で月31万円の年金を受給し始めました。
「若い頃から、いつかでっかいフェラーリに乗るのが夢だった」
と語るAさん。
「これからは、好きなことだけして生きていく」
と、退職直後に23区外の実家の近く、亡き父の知人が所有していた家賃5万円の築古のアパートに入居。本人いわく「寝られさえすれば良い」とのこと。
そして、新車価格3,000万円超えのフェラーリを停めるため、そのアパートの駐車場に2台分のスペースを借り、大家の許可を得てパイプ車庫を設置しました。
待望の納車後は、自慢のフェラーリでさまざまな場所に旅行したり、サーキットを爆走したりと、充実した老後を満喫していました。
出かけないときは、常に愛車を磨いているAさん。アパートや近隣の住民から「ボロアパートに住む謎の金持ちじいさん」と噂されていましたが、その自由な生き方で羨望を集めていたのです。
しかし、そんなAさんの「自由気ままなセカンドライフ」にも終わりのときが近づいてきました……。