老後に入っていても諦めない!今からできる資産防衛策

「もう手遅れかも……」そう嘆く神宮寺夫妻に、FPの永瀬さんは「確かに選択肢は限られますが、まだできることはあります」と励まします。

まず重要なのは、残された資産をインフレから守ることです。 神宮寺夫妻には約1,000万円の預貯金がありました。このうち一部を「物価上昇に対応できる金融商品」に移すことを提案しました。

投資は怖いという恵子さんに対し、永瀬さんはこう続けます。

「すべてを動かす必要はありません。生活費の2〜3年分は現金で確保し、そのうえで余裕資金の一部を“物価上昇に強い商品”に回す。これなら安心感を保ちながら資産を守れます。具体的には、個人向け変動10年国債やバランス型の投資信託といった、リスクを抑えた金融商品です」

それでも、「元本保証じゃないのは不安」という英明さん。

「現金・預貯金は安全だと思われがちですが、物価上昇で実質的な価値は下がり続けます。何もしないでいると、物価上昇で着実に実質的な元本額が減っていくと考えるとわかりやすいと思います。少しでも資産の一部を動かすことで、守れる部分があるんです」

あわせて永瀬さんが強調したのは、支出と収入のバランスです。固定費の見直し、公的サービスの活用に加え、健康が許せばシルバー人材センターでの短時間勤務も選択肢に。

「できればもう働かず、節約で何とかしたいと思っていた」と話す英明さんに、「今は70~74歳でも3人に1人が働いている時代です。収入を補うだけでなく、生活の張り合いや健康維持にもつながりますよ」と説明しました。

神宮寺夫妻はこれらのアドバイスを聞き、この先資産をどう守っていくか、改めて老後のプランを考え直しているといいます。