金(ゴールド)の価格が上昇している3つの理由
2020年以降、金価格はじわじわと上昇し続け、2025年7月には国内の小売価格が過去最高額を更新しました。
なぜ今、金の価格がここまで上がっているのか。その主な理由は、大きく3つあります。
金の価格上昇の理由①:戦争や国際情勢の不安による「有事の金」需要
1つ目の理由は、「地政学リスクの高まり」です。
ロシアとウクライナの戦争をはじめ、イスラエルとイランの対立、中国と台湾の緊張など、世界各地で不安定な情勢が続いています。こうした時代には、株などの有価証券よりも「安全資産」とされる金に資金が集まりやすい傾向があります。「有事の金」とも呼ばれるように、世界が不安定になるほど、投資家による金への需要は高まります。
金の価格上昇の理由②:円安が進んでいる
2つ目の理由は、「円安の進行」です。
金は国際的には米ドルで取引されますが、日本国内では円に換算して売買されます。そのため、円安が進むと、たとえ世界的に金価格が横ばいでも、日本円では値上がりして見えるのです。
金の価格上昇の理由③:アメリカの利下げ観測
3つ目は、「アメリカの利下げの可能性」です。
金には利息や配当がないため、金利が高い時期は敬遠されがちです。しかし、金利が下がれば、「利息がつかない金」への投資魅力が相対的に高まります。現在(2025年8月時点)、トランプ大統領はアメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)に利下げを迫っており、仮にアメリカが利下げを実施すれば、さらに金価格が上昇する可能性もあります。
金価格を支える2つの需要──工業需要と中央銀行の動き
金(ゴールド)の価格が上昇している理由は、「安全資産」としての側面だけではありません。実際に使われる「現物資産」としての需要があることも、価格上昇の背景として重要です。
① 電子機器や医療で使われる「工業用需要」
金は化学的に非常に安定した金属であり、熱や電気をよく通すという特性があります。このため、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の基板や半導体、さらには医療機器、宇宙開発などでも広く使用されています。こうした工業分野での金の需要が増えるほど、当然ながら金の需要全体が底上げされ、価格にも影響を与えます。
また、金の採掘には高いコストがかかるため、生産コストの上昇も価格に反映されやすい構造になっています。
② 中央銀行による「金の買い増し」
もうひとつ注目すべきポイントが、「各国の中央銀行が金を積極的に買っている」という事実です。特に新興国を中心に、金の保有量を増やす動きが活発になっています。
背景にあるのは、ドルへの依存を減らすための備えです。たとえば過去に報じられた「BRICS通貨構想」のように、アメリカに過度に依存しない経済圏を目指す国々にとって、金は脱ドルを実現するための新通貨の「信用を裏付ける資産」として非常に重要な役割を果たしています。中央銀行の買いが入れば、市場に出回る金の量が減るため、需給バランスの観点からも価格が上がりやすくなります。
※BRICS通貨構想:BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国による共通通貨の導入をめぐって、一部の加盟国から提案されている構想。正式な合意には至っておらず、加盟国の間でも慎重な意見が見られる。
投資だけじゃない。金は“使われている”から価値がある
このように金は、単なる投資対象ではなく、実際に使われるリアルな資産です。「使う人がいる」「買う人がいる」という需要があるからこそ、金の価格は長期的に見ても下がりにくい──この点も投資家にとって安心材料になっています。
なぜ金(ゴールド)は「守りの資産」と呼ばれるのか?──信用リスクと価値の保存性に注目
株式や債券、不動産など多くの資産には、発行元の信用リスクや価格変動の不安定さがつきものです。
一方で、金(ゴールド)は、世界中で価値が認められ、政治や経済の混乱があってもその価値を大きく失いにくいとされてきました。そのため、金は「守りの資産」とも呼ばれ、ポートフォリオの安定を重視する投資家から長年支持されています。
本章では、そうした金の特性について、他の資産との違いを交えながら、わかりやすく整理していきます。
株や債券と違い「信用リスクがない」
金(ゴールド)には、他の資産にはない「信用リスクのなさ」という大きな強みがあります。株式は企業が倒産すれば価値がゼロになることもありますし、債券も発行体(国や企業)の信用が下がれば価格が急落する可能性があります。
一方、金はどこかが発行しているものではなく、物理的な「現物資産」です。そのため、誰かの信用や経済状況に左右されず、本質的な価値が保たれやすいという特徴があります。
インフレや有事にも強く、長期的に価値を保つ
金のもう一つの大きな強みは、「価値の保存性」です。ンフレで通貨の価値が下がる局面でも、金の価値は相対的に維持される傾向があります。
また、政治不安や金融危機といった“有事”の場面でも、金は価値が下がりにくい資産として知られています。歴史的にも、世界中で価値を保ち続けてきた実績があり、資産を守る手段として長く信頼されてきました。
配当はないが、「守りの資産」として優秀
金には株のような配当や、債券のような利息はありません。そのため、「保有期間中にインカムゲインがないから金は損」と考える人もいるかもしれませんが、そもそも金は「増やす資産」というよりも、「守る資産」としての性格が強いのです。
経済が不安定な時期、通貨の価値が下がる時期に、長期的に価値を保ってくれる“安心感こそが、金の最大の魅力と言えるでしょう。
金(ゴールド)の今後の価格はどうなる?──注目すべき3つのチェックポイント
過去最高水準にある金価格は、この先どう動いていくのでしょうか。短期的な価格変動を予測するのは難しいものの、中長期での動向を見通すためにチェックしておきたい指標があります。
ここでは、金価格の変動に影響を与える主な要因について、基本的な視点を整理します。
① 為替と金利の動向は最重要
まず注目したいのが、「為替と金利の動き」です。金は世界的には米ドル建てで取引されているため、円安が進むと日本円での金価格は上昇しやすくなります。
また、金利の動向も重要な要素です。金は利息や配当がないため、金利が高いと他の資産と比べて魅力が薄れ、金利が低下すると相対的に金が買われやすくなるという関係があります。
そのため、日米の金融政策や中央銀行の金利方針は、金価格に直接的な影響を及ぼす要素として注視されています。
② 地政学リスクの変化も要チェック
これまでにも触れてきた通り、戦争や政治的な混乱といった地政学リスクが高まると金が買われやすくなります。
逆に、世界的な緊張がやわらいだ場合や、リスクが一時的に後退した場合は、金への資金流入が落ち着く可能性もあります。中東、ウクライナ、台湾海峡など、地域ごとの動きは定期的にニュースでチェックしておきたいポイントです。
さらに、地政学リスクの動向はもちろん、中央銀行がどの程度金を購入しているかといったレポートも公表されていますので、そうしたデータをチェックするのもおすすめです。
③ 需要と供給のバランスにも注目
金は工業用途としても使われる「実需」がある資産です。特に電子機器や医療機器向けの需要が増えれば、それだけ価格が支えられやすくなります。
また、金の採掘コストや生産量の増減も価格に影響します。さらに、中央銀行による金の買い増し(特に新興国)は、供給面の引き締まりをもたらし、価格の下支え要因となることもあります。
金(ゴールド)を買うならどこが安心?──初心者こそ「信頼できる販売先選び」が重要
金の価格動向や投資の基本を理解したうえで、「実際にどうやって購入すればよいのか」と迷う方も多いかもしれません。現物の金を手に入れるには、信頼できる販売先を選ぶことが何より重要です。
石福金属興業株式会社は、長年にわたり貴金属の精製・加工・販売を手がけてきた実績のある企業です。投資用の金地金はもちろん、純金積立やオンラインでの購入にも対応しており、初心者にも安心して利用できる環境が整っています。
「金は高くて手が出しにくい」と思われがちですが、最近では月々数千円から始められる積立サービスも増えています。無理のない範囲で、信頼できる会社から少しずつ始めてみるのも良い選択です。
まとめ
世界情勢の不安や円安、インフレなど、将来への備えを考えるうえで「金(ゴールド)」は改めて注目されています。信用リスクがなく、長期的に価値を保ちやすいという特性から、“守りの資産”として活用する人も増えています。
ただし、金も他の資産と同様に、価格は様々な要因で動くため、安易に飛びつくのではなく、しっかりと仕組みやリスクを理解したうえで向き合うことが大切です。まずは少額から、信頼できる販売先を選びながら、自分に合った形で“ゴールドとの付き合い方”を見つけていきましょう。
