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自宅のリフォームを迫られ「大ピンチ」も…“コツコツ”が救いに

FPと社労士の二刀流として事務所を開業したのは、50歳になってからです。資格を取得したからといって、すぐに売上につながるというものではありません。収入が安定するまでは、副業として業務にあたっていました。
自己投資をするために、本業と副業のほかにさらに仕事をして、トリプルワークをしていた時期もあります。その後、FPと社労士の仕事を通じてさまざまな人とのご縁が生まれ、少しずつ売上につながるようになりました。
相談者のバックグラウンドはさまざまです。なかには、私のように日常生活が厳しく、なかなか貯蓄ができない母子家庭の人からの相談もあります。
厚生労働省が2019年に行った調査によると、貯蓄があると答えた世帯のうち、児童がいる1世帯あたりの平均貯蓄額は約723万円です。全世帯の平均貯蓄額は約1,077万円、高齢者世帯は約1,213万円、母子世帯は約389万円となっています※2。
また、「貯蓄がない」と答えた母子世帯は母子世帯全体の31.8%にものぼります。母子世帯の貧困と、それにともなう子どもの貧困は、深刻な社会問題となっていることがわかるでしょう。
FPと社労士としての仕事が軌道に乗ってきたところ、新たな問題が出てきました。
それは「リフォーム」です。離婚したときから、負担付贈与で住宅ローンを払い続けていた自宅は、すでに築20年が経過していました。同時期に建ったご近所さんの外壁はきれいに塗り替えられていますが、我が家の外壁は色あせています。
そのころには2人の子どもも大学を卒業し、教育費の負担からは解放されていたものの、「もう少し余裕が出るまでは」と先送りにしていました。しかしある日、「屋根が2枚剥がれている。このままでは雨漏りする危険性がある」と指摘を受けたのです。
リフォーム業者に相談したところ、さらに「外壁の目地も数ヵ所剥がれています。屋根を直すなら、外壁も一緒に直したほうが1回で済みますよ」と言われてしまいました。
屋根と外壁の修理と防水で、見積額は270万円。教育費負担が終わったばかりの我が家には、非常に厳しい金額でした。
とはいえ、そのままにしておくわけにはいきません。どうやって予算を捻出するか、私は悩みました。iDeCoは老齢給付金として受け取ることが目的になっていることから、原則、途中で解約することができません。
他方、NISAを使って少しずつ積み立ててきた資産を確認したところ、5年6ヵ月で評価損益率※は平均70%になっていました。もったいないと思いましたが、これを一部解約することで、家のリフォームにあてることができました。
※ 一般に信用取引残高の買残高に対する評価損益の割合のことを指します。
NISAとiDeCoの「二刀流」で、金銭的な不安はぐっと減らせる
ただ銀行に預けているだけなら、リフォームはできていなかったと思います。仕事をきっかけに始めた資産形成ですが、少額でも長期の積立を続ければ将来大きな資産になることを自分自身で実証できた形です。FP・社労士になって本当によかったと嬉しく感じています。
NISAやiDeCoは運用益が非課税で再投資でき、iDeCoはさらに掛け金が全額控除、受け取るときも大きな控除があります。NISAとiDeCo両方に取り組むことで、もしものときの備え(NISA)と老後の備え(iDeCo)がどちらも叶います。
NISAは子どもが独立してから積立金額を増やし、iDeCoは金額を増やすことなく、いまも細々と続けています。iDeCoは5年7ヵ月続け、損益率は53%(2024年12月現在)です。
私が資産形成を始めたきっかけは「仕事」でしたが、きっかけは人それぞれ。ぜひ、少額でも自身の備えのために実践してみることをおすすめします。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表