残価設定型クレジット(通称・残クレ)について、世間では「デメリットが多いサービス」とする否定的な意見も少なくありません。ただ、世間で言われるようなデメリットだらけのサービスであれば、はたしてここまで普及するものでしょうか。そこで今回、残クレを利用してアルファードを購入した30代夫婦の事例をもとに、残クレ利用者の実態を見ていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
残クレ叩きは嫉妬でしょうね…「残価設定ローン」で新車のアルファードを買った、世帯年収700万円・38歳“仲良し夫婦”の意地【CFPの助言】
FP「アルファードはおすすめできません」…夫婦の反応は?
相談当日、夫婦はこれまでの一連について説明。するとFPは間髪入れずにこう言います。
「家計を最優先に考えるのであれば、アルファードの購入は正直おすすめできません。別の車種を検討されてはいかがですか?」
率直な意見に頷く夫婦。しかし、そのうえで2人はこう伝えました。
「私たちも、コストがかかることは理解しています。ですが、いましかできないことを大切にしたくて。今回は“時間をお金で買う”という気持ちで、思い切って乗ってみたいんです」
健太さんは、あくまで現実的な計算をしたうえでの選択であることを強調しました。
「アルファードを買った前提で家計シミュレーションをお願いしたいんです。明らかに破綻するような状況でなければ、購入しようと考えています」
その強い意思を受けて、FPは具体的なシミュレーションを始めました。
【購入条件】
アルファードの価格:600万円
車両残存価格:250万円
金利:3.9%
返済期間:5年
すると、残クレでアルファードを購入した場合、毎月の返済額は約7万3,000円になるという試算結果が出ました。
この結果をもとに、今後の生活設計を細かく確認していきました。
「支出はどこを削ればいいですか?」「世帯年収を増やすにはどうしたら?」
夫婦は矢継ぎ早に質問します。
まず支出面については、固定費の見直しが最優先です。家賃や通信費、不要なサブスクリプションなどを精査することで、月に数万円単位での見直しが可能になるケースも少なくありません。
また収入面については、妻のパート勤務の時間を増やすことによる世帯年収の底上げを提案。無理のない範囲で働いて収入を増やしつつ、計画的に支出を管理することが重要です。
これらの改善策を実行すれば、月々7万3,000円のローンを返済しつつ、月に2万円程度の貯蓄を維持できる見通しがたちました。
さらにFPは、ローン返済中であっても少額から資産形成を始めることの重要性に触れ、月2万円を新NISAで積み立て投資していくプランを提案。将来に備えながら、いまを楽しむための家計を設計していきます。
この結果、夫婦は通信費などの固定費を見直し、妻のパート時間を少し増やすことで、家計に余裕を持たせる工夫を重ねました。準備を整えたうえで、念願だったアルファードを「残クレ」で購入。
ディーラー担当者からは「キズや距離制限を超えると追加費用がかかる場合がありますので、大切にご利用くださいね」と念を押されたうえで、無事納車されました。