都会の喧騒から離れ、自然豊かな環境で老後を謳歌したい……そんな考えの人は増えているようです。実際、政府・自治体による助成金などを背景に「地方移住」を検討するシニア世代は増加傾向にあります。ただ、移住後の“ほんの些細な想定外”が、それまでの幸せな日々を壊すトリガーとなることもあるようです。ファイナンシャルプランナーの石川亜希子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
これだよ、これ!…年金月28万円・貯金2,000万円の60代夫婦「地方移住」で叶えた理想の老後に大はしゃぎ→半年後、夫婦が移住を後悔した“2つの想定外”【FPの助言】
“想定外”は必ず起こる
自然のなかで過ごす老後は、たしかに魅力的です。せわしない都会での生活では得られない贅沢に思えます。はじめはすべてが新鮮で理想的に思えることでしょう。
しかし、どんなに事前準備を周到に行っていたとしても、“想定外”は必ず起こります。スーパーの閉店やケガ、こういった“想定外”が積み重なると、「戻りたい……」と後悔しても無理はありません。
体力や気力が落ちてくると、小さな不便や変化が想像以上に重くのしかかってくるように感じてしまいます。
だからこそ、情報収集だけでなく、メリット・デメリットを考えたうえで、“想定外”を具体的にシミュレーションし、「もし、想定外のことが起きたらどうするか?」を夫婦で話し合っておくことがとても大切です。
・もし夫婦のどちらかが体調を崩したら、どう支え合うか?
・「いまの暮らし」が合わなくなったとき、次にどう動くか?
・どんな場所で、どんなふうに年を重ねていきたいか?
老後は人生の新たなスタート地点…場所よりも“暮らし方”に重きを置いて
老後を65歳から95歳までの30年間と仮定すると、老後は人生の新たなスタートとともいえます。
「どこに住むか」ではなく、「その場所でどんな日々を送りたいか」、暮らしそのものの継続性をシミュレーションしておくことが、豊かな老後につながっていくのかもしれません。
石川 亜希子
AFP
