低所得の年金受給者向けの福祉的な役割を果たす「年金生活者支援給付金」。所得要件を満たすと支給されるようになるものの、当初は受給対象ではなかった人も支給されるようになるケースがあります。69歳Aさんの事例をもとに、その理由と「年金生活者支援給付金」の仕組みをみていきましょう。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
えっ、いいの?…年金月13万円の68歳女性、日本年金機構から届いた「薄緑色の封筒」に大喜び。“全員もらえる”わけではない「特別な給付金」の正体【CFPの助言】
「年金」と「給与」あわせて「月に約25万円」で暮らす女性
現在69歳のAさんは、4年前に夫・Bさんを亡くして以来、郊外にある戸建てに1人で暮らしています。現在は、Bさんが亡くなったことによる遺族厚生年金を約80万円、Aさん自身の老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)を約76万円受給中。合計すると年156万円、月13万円程度の年金収入があります。
また、Aさんは夫が亡くなる前からパートで働いており、年間150万円(月12万5,000円)の給与収入を得ていました。Bさん亡きあと、この働く時間がAさんの心の支えとなり、生活を支える柱にもなっていましたが、66歳で退職しています。
これにより、月約25万円だった生活費は年金収入の約13万円のみとなり、生活する収入としては心許ないと感じるようになりました。
Aさんのもとに届いた「薄緑色の封筒」の正体は…
Bさんが他界して3年の歳月が経った2024年9月、68歳のAさんのもとに、日本年金機構から「薄緑色の封筒」が届きました。
年金機構の封筒は違う色が多いことから、Aさんは不安を覚えながら開封。
するとその封筒のなかには、「年金生活者支援給付金」についてのお知らせと、その受給のための請求書(ハガキ)が入っていました。
「なにかしら……」
詳しく読んだところ、Aさんは翌10月分から「年金生活者支援給付金」の支給対象になると書かれています。
「夫が他界してすぐに遺族年金の手続きをしたとき、働いて収入があるから給付金については対象外みたいなことを言われたけれど……なんで私に届いたのかしら?」
これが事実であれば嬉しいものの、過去に対象外と言われていたAさんは突然の通知に首をかしげました。