低所得の年金受給者向けの福祉的な役割を果たす「年金生活者支援給付金」。所得要件を満たすと支給されるようになるものの、当初は受給対象ではなかった人も支給されるようになるケースがあります。69歳Aさんの事例をもとに、その理由と「年金生活者支援給付金」の仕組みをみていきましょう。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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老齢年金生活者支援給付金「所得要件」のカラクリ
この点、老齢年金生活者支援給付金の支給における所得要件の判定において、年金収入のなかでもともと非課税となる遺族年金は含まれません。
Aさんの年金収入は、老齢年金だけをみると76万円。約88.9万円以下となり、前述①の所得基準を満たすことから、給付金が支給されることとなります。
さらに、現在1人暮らしのAさんは給与収入がなくなってから、②の「市町村民税非課税世帯である」という要件も満たすようになりました。
要件の両方を満たしたことから、新たに支給対象となったのです。
たとえ月数千円でも家計は助かる
Aさんに新たに支給されることになった「年金生活者支援給付金」の額は年間5万円程度。月約4,000円です。決して十分とはいえませんが、年金収入だけで生活するなか、給付金は家計の足しになることには間違いありません。
すぐに給付金の請求をして受給が始まったAさんは、その存在のありがたさを感じるのでした。
また、2024年の1年間も引き続き年金収入のみだったため、2025年10月~2026年9月分も引き続き給付金が支給されることになりそうです。なお、継続して給付金が支給される場合は、再度請求する必要はありません。
今回の事例のように、いままで年金生活者支援給付金の対象とならなかった人が所得要件を満たすようになり、支給対象になることもあります。
ただし、新たに給付金が受けられるようになると、請求書での請求が必要です。請求が遅れてしまうと、受け取れるはずの給付金が受け取れない可能性もあるため、支給対象となった場合は忘れずに早めの請求を心がけましょう。
五十嵐 義典
CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役
