「夫婦で旅行三昧、悠々自適な老後」が一転、定年からわずか3年で離婚、退職金も年金も分割され、小さなアパート暮らしに...。今回は、そんな"転落シニア"となった元会社員男性の事例をご紹介します。長年の勤務に満足していた男性が、なぜ熟年離婚に至り、生活基盤を失うことになったのか。その背景には、見過ごされがちな「夫婦の感情的すれ違い」と、「離婚後の思わぬ経済リスク」が潜んでいました。FPの三原由紀氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
こんな老後になろうとは…〈年金25万円〉〈退職金2,000万円〉〈貯蓄1,500万円〉66歳元会社員「妻とのんびり温泉巡り」のはずが、小さなアパートにポツン。ひとり項垂れる「転落シニア」の悲哀【FPの助言】
定年後の「夫婦の危機」に備える3つの心得
定年を控えた方、すでにリタイア生活を始めた方には、ぜひ以下3点を心がけていただきたいと思います。
1. 夫婦での対話を増やす:一方的な理想の押し付けではなく、互いの望むライフスタイルを確認し合いましょう。
2. 制度的リスクを理解する:年金分割や財産分与の仕組みを事前に学んでおくことで、万一の場合の経済的ダメージを最小限に抑えられます。
3. セカンドライフの設計を共同で行う:定年後の生活は「夫の引退後の過ごし方」ではなく「夫婦の新たな人生設計」として捉えることが重要です。
「俺が一生懸命働いてきたのに…なぜこんなことに」と嘆く正雄さん。しかし、長年見過ごしてきた"夫婦間のすれ違い"と、"制度的リスクへの理解不足"が、彼の老後を想定外の方向に導いてしまいました。
定年は"終わり"ではなく、"新たな関係性を築く始まり"でもあります。今一度、「夫婦の在り方」と「お金の制度」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
「もし時間を戻せるなら、定年前にちゃんと話し合っておくべきだった」と、正雄さんは静かに語ります。
参考:令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html
三原 由紀
プレ定年専門FP®