子・孫への資金援助、みんなどうしてる?

子どもが親から贈与を受ける典型的な例として、「住宅購入資金」があります。一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査」によると、新築住宅購入者が親から贈与を受けた場合の贈与額は、下記のように推移しています。

〈新築住宅購入者に対する親からの贈与額〉

・2022年度:998.2万円

・2023年度:915.8万円

・2024年度:776.3万円

上記のように年々減っている一方、同調査で既存(中古)住宅購入者が親から贈与を受けた場合の贈与額をみると、下記のように年々増額傾向にあることがわかります。

〈既存(中古)住宅購入者に対する親からの贈与額〉

・2022年度:662.2万円

・2023年度:734.4万円

・2024年度:752.9万円

Cさん一家は現在、新築の戸建て住宅に住んでいます。この住宅を購入した10年前、夫は父親から800万円の資金援助を受けました。

Cさんも父のAさんに援助を頼もうとしましたが、夫がこれを拒否。Aさんは、娘たちに援助できなかった負い目があるといいます。

また、ソニー生命保険株式会社「シニアの生活意識調査2024」によると、この1年間孫のために使った「シニアの“孫消費”」の内容は下記のとおりです。
※ 本調査における「シニア」とは、50~79歳のことを指す。

1位「おこづかい・お年玉・お祝い金」……65.6%

2位「一緒に外食」……52.9%

3位「おもちゃ・ゲーム」……38.0%

4位「一緒に旅行・レジャー」……32.2%

5位「衣類などファッション用品」……30.4%

使った平均年額は10万4,717円と、2023年10万8,134円より3,417円減少しています。ここにも、物価高の影響があるのでしょうか。

老後破産の心配はないが…FPの見解

筆者のところを訪れたA夫婦は、自分たちの家計を心配するとともに、次のように言いました。

Aさん「Cが子どものころ夫婦ともに忙しく、旅行に連れて行けなかったことに自責の念があります。娘の期待を裏切りたくなく、できることなら旅行を続けたいのですが」

筆者が夫婦の家計収支を試算すると、退職後から10年の間に多額の支出があったものの、大部分が大規模修繕や車の買い替えなど一時的な支出であり、今後そのような予定はなさそうです。

また、現在70歳のA夫婦には、月34万円の年金収入と約3,000万円の貯蓄があります。そのため、今後の介護・看護費用やマンションの維持管理費の上昇を見込んでも、夫婦が100歳時点で1,000万円以上の貯金が残る計算です。

むしろA夫婦は、いまある貯蓄をどう有効に使うか考えるべきで、旅費にあてるのはそのひとつの方法でしょう。

Cさんたちとの旅行でお金の不安をなくすためには、旅行ごとに小遣いや旅先の食事代など一切合切の予算を決め、その金額を娘さんに事前に伝えたうえで出発すると安心です。

ここまで話すと、夫婦は「娘と旅行が続けられる」と言って、喜んで帰宅していきました。