夫婦水入らずの旅行のはずが…

娘の尽力に感謝したAさんは、なにか恩返しがしたいとCさんに伝えます。

「次はパパたちが費用を出すから、お前たち家族も一緒にどうだ」

父の誘いを喜んだCさんは、夫と当時保育園児の息子を連れて「3世代旅行」に出かけるようになりました。

しかし……。

3世代旅行が通例になるにつれ、徐々にCさんの振る舞いが変わっていきます。

「せっかくだから」と予定にない高級レストランで食事をとったり、ブランド品をおねだりするようになったのです。これにより、100万円近く予算オーバーになることも多く、A夫婦はどうしたものか悩んでいました。

そんな折、時は2020年。新型コロナウイルスが流行したことから、この旅行も中止を余儀なくされ、夫婦の悩みもいったん落ち着いたかのようにみえました。

「質素に暮らしたい夫婦」と「旅行再開に燃える娘」

旅行費用に加え、マンションの大規模修繕や部屋のリノベーション費用、車の買い替えなど、退職後に予定していたまとまった支出もあったことから、夫婦が定年退職してから10年経ち、現在の貯蓄は5,000万円から約3,000万円に減っています。

計画的な支出が多かったとはいえ、昨今の物価高からか、貯蓄の減り方が以前より早くなったと感じた夫婦は、「今後はもう少し質素に過ごしたい」と考えるようになりました。

「旅行再開もまだ先かな」

そんな風に考えていた夫婦ですが、Cさんは反対に、そわそわするようになりました。

「コロナ禍も落ち着いたことだし、そろそろ旅行も再開しない? 次はどこ行く?」「私たちの家族も行けるのよね?」

娘は、誕生日が近くなると毎回帰省をして、おねだりをするようになりました。

夫婦は、そんな娘の“おねだり帰省”の恐怖に怯えるように。

「このままではいずれ破産してしまうかもしれない……。今後どれくらいのペースで自分たちや娘家族にお金を使えるのだろうか?」と不安が大きくなった2人は、知り合いである筆者のもとを訪れました。