株式会社AlbaLinkの調査によると、実家を離れて暮らす人の6割以上が「積極的に帰省したい」と答え、その理由のトップは「家族に会いたいから」でした。もっとも、なかにはその帰省に怯える親もいるようで……。楽しみにしていたはずの孫との夏休みが憂鬱なものに変わってしまったとある夫婦の事例から、成人した後の親子関係の難しさをみていきましょう。牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
夏休みよ、こないでくれ…「年金月26万円」「貯金1,400万円」60代夫婦が“愛する息子家族のお盆帰省”に怯えるワケ【CFPの助言】
帰省に関する調査データ
株式会社AlbaLinkが、実家から離れて暮らしている500人を対象とした「帰省の頻度に関する意識調査(2023年12月)」によると、「実家に帰る(帰省)頻度」は年1回が18.6%、年2回が18.2%、月1回以上は29.6%でした。
また「実家に帰る(帰省する)タイミング」は、年末年始が50.6%、夏休み・お盆期間が41.6%、ゴールデンウィークが14.0%、週末・休日が13.2%の順です。
そして、500人のうち64.4%が「実家に積極的に帰りたい(帰省したい)」と回答しています。
「実家に積極的に帰りたい(帰省したい)」理由としては下記があげられています。
・1位:家族に会いたい・話したい(97人)
・2位:家族が心配(81人)
・3位:子どもに会わせたい(53人)
・4位:気分転換したい(45人)
・5位:後悔したくない(30人)
・6位:親孝行として(19人)
・7位:実家の食事が恋しい(14人)
今回紹介するA夫婦も、例年子どもの家族の帰省を首を長くして待っていました。しかし、この夏はどうやら様子が違うようです。
穏やかな年金暮らしに影を落とす「異変」
元会社員のAさん(66歳)と妻のBさん(64歳)の夫婦は、都心から東北新幹線で1時間半の地方都市の戸建て住宅に住んでいます。
Aさんは、昨年の秋65歳で長年勤めた鉄工所を退職。一方のBさんは、結婚後は専業主婦として家庭を守ってきました。夫婦は老後の生活で初めての夏を迎えます。
現在夫婦の主な収入は、月26万円の老齢年金です。Aさんが退職してからは毎月の家計支出を年金収入以下に抑えて、また貯蓄も1,400万円あることから、贅沢さえしなければ老後は生活できると考えていました。