お金の管理が苦手で家計は妻に任せきり。それでも、できる限り節約に協力してきた夫。「うちはお金がない」と長年言われ続けてきた中、突然「家を買わない?」という妻に、思わず苛立ってしまいます。ところがその言葉の裏には、思いもよらぬ事実が……。今回は、そんなエピソードを通じて、「家計を任せること」のリスクと向き合い方について、小川洋平FPが詳しく解説します。
どこにそんな金があるんだよ…小遣い月2万円で半額おにぎりとパンがお昼の定番、涙ぐましい節約に耐えてきた年収500万円・56歳会社員。妻の「家を買わない?」に半ギレも“まさかの告白”に拍手喝采【CFPの助言】
「家を買うためのお金、あるから」妻の衝撃告白
「家買うために2,000万円、貯めてあるから」
妻の告白に思わず絶句しました。なんと妻は、夫に内緒で2,000万円を貯めていたというのです。結婚当初から、家計のすべてを一手に引き受けてきた妻。子どもたちの教育資金や生活費をやりくりしながら、密かに住宅資金までも積み立てていたといいます。
驚きつつも、高田さんはまだ不安でした。「全財産を家に使うのか?」……しかし、妻は続けます。
「老後資金は、別にあるから」
そして、笑顔でタブレットを差し出しました。「このエリアなら、2,000万円もあれば築浅のマンションが買えるのよ。夫婦ふたりには小さい部屋でも十分でしょ?」
「いや、驚いた……そんなに貯めてたなんて。なんで今まで言わなかったんだよ」
「言ったらあなた、節約やめちゃうでしょ? ここまで簡単に貯められるわけじゃないんだから」
今まで「お金がない」と言われ、疑うことなく倹約を重ねてきた日々。辛い時もありましたが、それは、お金の管理が苦手な夫に代わって、妻が家族の未来のために描いていた秘密のプランだったのです。
まさに妻の作戦勝ち。高田さんは「一生賃貸」と諦めていたはずのマイホームを手に入れることが、突然現実的になったのです。
家計管理を任せきりにすることのリスク
今回の高田さんのケースは結果として大成功でした。しかし、実際には真逆の結末を迎える家庭も少なくありません。
家計を一方に任せきりにした結果、気づけばクレジットカードのリボ払いや借入れが膨らみ、家計が破綻寸前まで追い込まれていたという事例もあります。借金返済に行き詰まり、職場の積立金や町内会費に手をつけてしまった……そんな取り返しのつかないことに発展してしまったケースさえ存在します。
また、必要以上に節約を強いられ、交際費や趣味に使えるお金を削りすぎたことで、職場や友人とのつながりが希薄になり、孤独やストレスから精神的に不安定になるといった問題に発展することもあります。
家計を誰か一人に「任せる」こと自体は悪くありませんが、「任せきりで無関心」という姿勢が、大きな落とし穴になることもあるのです。