「残クレ」という言葉をご存じでしょうか? これは「残価設定型クレジット」の略で、自動車ローンの一種です。“残クレ・アルファード”なるミームが出回るなか、ネット上では「残クレは損をする」「デメリットしかない」といった否定的な声も少なくありません。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか? 辻本剛士CFPが具体的な事例をもとに、「残クレ」のしくみと活用方法を紹介します。
残クレは使わないと損ですよ…「年金月25万円」「貯金3,000万円」の69歳男性が〈残価設定クレジット〉を利用する納得の理由【CFPが解説】
残クレは月々の返済額を抑えられる一方、利息が増えるケースも
残クレ(残価設定型クレジット)のメリット
車を購入する際に残クレを活用するメリットは、主に下記の3つです。
・月々の返済額が少なく済む
・下取り価格が保証されている
・定期的に新車に乗り換えやすい
残価を設定することで、月々の返済額を抑えられるのが残クレの大きな魅力です。契約時に将来の下取り価格(残価)が保証されているため、契約期間中に市場価値が下がっても、その影響を受けずに済みます。
たとえば先述の例でいうと、新車価格300万円の車に対し、3年後の残価を150万円と設定した場合、仮に3年後の中古車相場が120万円に下がっていても、150万円での引き取りが保証されます。
契約期間は3〜5年が一般的で、数年ごとに車を乗り換えたい人にとっては使い勝手のよい購入方法といえるでしょう。
残クレ(残価設定型クレジット)のデメリット
一方、残クレには下記のようなデメリットも存在します。
・トータルでの支払額が高くなりやすい
・走行距離制限や車両状態に制限がある
・カスタマイズが制限される
残クレは「月々の支払分にだけ利息がかかる」と思われがちですが、実際には残価を含む総額に利息がかかります。特に残クレを利用するような高級車の場合は残価も大きくなるため、そのぶん利息も増える点は意識しておきたいところです。
また、走行距離の上限が設けられており、これを超えると買取保証が無効になったり、追加料金が発生したりすることがあります。さらに、契約中に生じたキズや事故による損傷がある場合、返却時に原状回復費が請求されることもあるため、事前に内容をしっかり確認しておくことが大切です。
実際、小さな傷でも原状回復が必要とされ、数十万円の高額な修理費を負担することになったなどのトラブルも起きています。
とはいえ、この「残価設定クレジット」をうまく使いこなしている人がいるのも事実です。
今回紹介する69歳の松永さん(仮名)は、なぜ“あえて”残クレを選んだのでしょうか。