「老後2,000万円問題」は過去の話…定年後必要な金額はいくら?

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2024年」によると、65歳以上で子のいない無職世帯の家計収支は、年金などの収入が平均25万2,818円、食費や光熱費、税金や社会保険料を含めた支出が平均28万6,877円と、ひと月あたり3万4,059円の赤字となっています。つまり、年間で40万円程度の資産の取り崩しが必要となる計算です。

「65歳以上」とひと口にいっても、実際には60代後半と90歳とでは生活スタイルが異なるため、家計収支も変動します。とはいえ、仮に65歳から100歳までの35年間を夫婦2人で生活したとすると、老後資金として準備すべき金額は約1,400万円(40万円×35年間)にのぼります。

一時期メディアで騒がれた「老後2,000万円問題」は、2019年6月に金融庁が公表した報告書で「老後30年間で約2,000万円の資金が不足する可能性がある」といわれたものです。

この「2,000万円」という数字の根拠は、総務省の家計調査結果に基づいています。しかし、発表から6年経ったいま、当時と比較すると年金等の実収入が増えていることから月あたりの赤字幅が縮小し、必要となる金額も少なくなっています。

当然ながら、各世帯によって夫婦の年金額や生活費が異なるため、生涯にわたって必要となる金額も異なります。

したがって、2,000万円や1,400万円といった数字はあくまでも目安とするにとどめ、自分たちの場合はいくら必要なのか、実際の生活費や受け取れる年金額をもとに冷静にシミュレーションを行うことが大切です。